にっき日和
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夜のお散歩は、なかなかゆかい。
あしのむくまま、気の向くまま・・・・ただひたすらてくてくと。
見慣れた近所の町並みも、
ちょっとだけ、ちがう世界にみえたりします。
裏通りの曲がり角を、くるりとはいる。
生垣に咲いた白いお花が、
ふうわりふわり甘い香を漂わせています。
塀の上で、なにかがきらりと光りました。
にゃんこが、こちらを見ているのでした。
そっとお庭を覗いてみると、
あちらに一匹、こちらにも一匹。
猫会議の最中かしら?
お邪魔になったら悪いので、そっとその場を離れました。
どこかのおうちで、話し声が聞こえます。
夜は少しの物音も、あたりに大きく響くのです。
茶の間でくつろいでいる家族の姿が、
網戸越しに透けて見えました。
灯りをつけた家の中は、まるでちいさな劇場のよう。
見えない観客に向かって、
毎夜ホームドラマを演じているのです。
こちらに気づいた飼い犬が、
立ち去れと言わんばかりに低くうなります。
今晩のホームドラマはここでお開き。
たったひとりの観客は、ふたたび夜にまぎれます。
どこかで、かちゃかちゃ食器の音が。
晩ご飯の洗い物でもしているのでしょう。
お風呂の最中かしら。
あちらのおうちでは、シャボンの匂いといっしょに、
子供達の楽しげな声が聞こえてきます。
住宅街を離れ、線路をまたいだ高架を渡りました。
遠くのビル街で、ちらちらネオンが光っています。
「こんばんは」
すれ違った老夫婦が、会釈をして通り過ぎました。
彼らも、お散歩の途中なのでしょう。
蛍光色のたすきが、鈍く光ります。
ぽん!・・・・という音に立ち止まりました。
どこかで花火大会があるのでしょうか。
西の夜空に、ポンポンダリヤが咲きました。
生ぬるい風に吹かれながら、
しばらく夜のお花畑にみとれます。
さて、そろそろおうちに帰りましょ。
明日はどこを歩こうかな。
(* ̄∇ ̄*)
ぴょん
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