にっき日和
おしながき前よむ次よむ


2002年08月25日(日) 逝く夏に

かき氷を食べに行きました。


地元のグルメ番組で紹介されたのをきっかけに、

みんなで食べに行こうという話になったのです。


そのお店は、駅前通りをそれた裏道にあります。

いまどき珍しい、古びた駄菓子屋風の佇まいです。

”氷”と書かれたのれんが、

ひらひらと、わたしたちを招いていました。


わたしは初めてだったのですが、

友人達は学生の頃から、なじんだお店だそうです。

昔はこんな駄菓子屋が、あちこちにあった気がします。


のれんをくぐると、内装もこれまたレトロ・・・

店先に、年代物のまねき猫がちんまり座っておりました。

旧式の壁掛け扇風機が、ぶんぶん首を振っています。

ぐるりと見渡すと壁いっぱいに、

短冊状のお品書きが貼られていました。

イチゴやメロンは定番ですが、

コーヒーや、フルーツなんてのもあるのです。

あれこれ迷った末、

わたしは、ミルク宇治金時を注文しました。


シャリシャリシャリ・・・・・

氷を掻く音が店に響きます。

そっと覗いてみると、ここでは昔ながらの、

どっしりとした、かき氷機が大活躍しているのでした。


氷を待つ間わたしたちは、

子供の頃の思い出話で盛り上がりました。

給食の話、夏休みの宿題について・・・

とめどない話は、にぎやかに途切れることがありません。

こうしていると、小学生の夏に戻ったような気がします。

友だちと、プールの帰り道に、

こんなお店で道草をした記憶があるのです。


やがて白衣のおばちゃんが、氷を運んできました。

さらさらふんわり。

おうちで作る氷とは、やはり違います。

底に沈んだあすきを、

溶けかかった氷にさくさく混ぜるのが、

いちばん美味しいと思います。

最後の氷をズズっと飲み干すと、

体中の体温が、ひんやり下がってゆく気がします。


「ごちそうさま」

お店を出ると、近所のお寺が夕刻の鐘を打ちます。

西に傾いたお日様が、強い陽射しを投げかけていました。

つくつくぼーしを背中で聞いて、

わたしたちは家路を急ぎます。


ゆっくりと、

けれど確実に逝く季節のかけらを、

拾い集めるかのような午後でした。


ぴょん

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