パンドラの箱
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きっとそれは、あらかじめ決められたことで。 起こりうるタイミングだけを計っていたのだろう。
同じ街の片隅で、すれ違ったであろう瞬間を思い。 決して気付かなかったことの意味を考える。
「その辺ですれ違ってたかも」
「ありそうだなあ。なんか、絶対どっかで逢ってそう」
お互いの人生の一瞬を、切り取ったときに、出逢えたことの不思議と同じくらい、出逢えなかったことの不思議を思う。
「当時逢えなかったのは、必要なかったからではなく、お互いが出逢うにはまだ足りないものが多かったからじゃないかな。より完全な状態で出逢うためにちょっとだけ時間がかかったのかもしれない」
「そうだね、このタイミングで出逢うことが一番だったんだと思う」
お互いが別々に生きてきて、なんの接点もないように思えるのに、既視感を持った思考回路に、なんの衒いも策略もなく、ありのままで理解し合えるのは、どうあがいても説明しようがない。
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