しばらく喧嘩をしていない。些細なことで声を荒げることもなく、お互いを責めることもなく、つつがなく、淡々と粛々と日々を暮らしている。それは傍から見れば、円満ということなのだろう。お互いが必要とするときに必要とする行動をとり、お互いの果たすべき機能を役割分担している。お互いが共有しているのは、守るべきもの。それを守るために、自身の感情に蓋をする。もはやそこにはかつての愛情など欠片もなく、ただ諦めと惰性とで繰り返される日常。