あお日記

2002年06月20日(木) 「ラン」さん

 高校の頃になると色々な地域から人間が集まってくるわけで、もちろんそれに比例して雑多な人間が存在する。それは中学のような地域限定の閉鎖的な社会とは比べられないくらい、言わば世の中の人間たちの有り様の縮図がそのまま詰まっている場所でもあった。意地の悪そうな大人もいるし、自分勝手な輩も大勢いる。逆に私なんかは及ばないくらいの純朴な生徒もいれば、しっかりとした自分の主張を持って生徒に接する大人もいたわけだ。それを分かっていたつもりでも、伊達に歳を取ったかもしれない今の私から見て判断してさえ、当時の自分は視野が極端に狭く、周囲に対して冷静で中立な判断力を行使していたとはとても思えません。それは不器用で画一に満ちた「思い込み」という名の思想に裏づけされている、非常に薄いものでした。「道徳」という名の画一。
 「思想」なんて偉そうなもんじゃない。

 1年2年と同じクラスだったのは、人当たりの良さそうなセミロングで若白髪の豊富な「ラン」さん、それとパーマの効いた茶髪のショートカットで利発・秀才で美人と評判の「スー」さん。その2人とは入学時から何故かよく目が合う。高校に入ってからひねくれ者になった私はあまり人と目を合わせる行為を好まなかった。その最大の理由は「虚勢がバレる」という危機感だったのかな? それでも目が合うってのは相当な縁??(笑)
 入学当時でまだ高校の「時間」に慣れていない頃、早め早めに行動しないと気が済まない私と前後して朝の教室に姿を現すのがスーさんでした。とは言っても私が彼女に興味を持つ訳でもなく、その後もほとんど彼女と話をしたという記憶はない。忘れているだけとも言う(笑)。その点、ランさんは私の「嫌いだ」と思っている連中そのものだったのでよく覚えており、当時は彼女の視線や懲りずに話し掛けてくるその姿勢にうっとおしさを感じてもいました。

 相変わらず「恋」という観点から興味をもたれることが嫌いだった自分と、ランさんのように年相応の恋愛の夢も見ているであろう人と、順逆の差の激しい私たちの接点ははっきりいって何も無かった。

 ひとつの場所にいる ということを除いて。





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 次回も「ラン」さんについてです。


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