夏休み頃だったか、タケダとラザがバイトに精を出すようになった。それに比例して私は人と交わる時間が少なくなっていった。もっとも自分にとってはそのほうが都合よく、2学期が始まっても隣のクラスに行くことはなくなったし、放課後にタケダと一緒に帰ることも無くなった。昼休みはたまに隣のクラスで知り合ったD君や陸上部のNが学食へ誘いに来たが、この頃は食欲もなく、授業が終わると彼らが来る前にさっさと静かな場所 すなわちニワトリ小屋のある植え込みでボケっとする日がほとんどになった。
何をそんなに考え込むようになったのか、上手く表現は出来ないが、攻撃の対象が自分自身に向っていくようになった。例えば中学の頃私は尊敬する担任の影響で教師になりたいと思っていた時期があった。しかし、自分は人に教えを説くような資格のある人間なのだろうか? いったい何を教えたいというのか? 周囲の友人達に理解させられないものをどうやって...。注釈:この頃の私の成績は限りなく下降線、底辺が見えてきたって感じ(笑)。やることもやらないで偉そうなことゆうとるなぁ〜と自分に言いたかったわけですね。
自分の力を疑うと人間は無気力になっていく
それまで自分は正しいと思っていたが、それは「道徳」という物差しがあるからこそ測れるだけであって、はたしてそれが絶対的な真理なのか? 私には判断の及ばない問題について考えるようになり、ドツボにはまっていったのである。
ん〜〜マジメだね〜 ぼくちゃんってば(笑)。
たまにタケダやラザと会ってバイトの話を聞いた。どうもタケダはバイト先の女の子にホレられたらしい、といった浮いた話を「あっそ」みたいに呆気なく聞いていただろうことは想像に難くない。いつしか私の命題は具体的な恋愛を許容しないようになっていった。当然「嶋」さんのことも...。
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