購入したチケットの開催期間が春休みに入ってからなので、なんともまあ気長なものです。丸々4ヶ月ほどの時間でどうして使い道が変わったのかというと、簡単に言えば杏さんには恋人として広く認知されている相手がいたからです。まあその程度の情報でくじける私ではないのですが(笑)、杏さん自身の口から聞いた言葉が私をあきらめさせるには十分なものでした。
「結婚式にはあおちゃんも呼ぶよ」
うーーん どうにもならんな...(^^;;
私の記憶の中で最も魅力的で輝きに満ちていた杏さんがこの時期の姿のままなら、恐らく今ある自分の未来はまた別の顔をしていたのだろう。彼女のことを振り返ると、なぜか私は幼すぎてさらに矮小だった自分というものに気付く。その自分が杏さんの恋愛の危機を察知できるほど敏感ではなかっただけで、彼女をデートに誘って了承を得る、その目的自体は果たせる状況も確かにあったのだ。 3学期に入ってから久々に会った杏さんの表情に以前のような活気が無いことだけは分かっていたが、その理由を知ったのはもうずっと後のことだった。
チケットが4枚というのは、デートとは別の日にもう2枚使う予定でいたからです。これが母に出来る最後の親孝行だという思いを抱きながら。
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