日々の思い

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きもの
2002年05月25日(土)

先日から、着物センターと言うところから、電話がかかってきていた。
古い、着なくなった着物があったら、
それを何かの役に立てませんかというのだ。

今、着物の再利用の話が、あちこちで、聞かれ、
ちょっと興味を持っていたので、聞いてみた。
着物教室の生徒さんなんかに、練習用として、
作り直したり、あるいは、学校で、教材用として、
利用したりするのだと、いう返事だった。

ああ、それなら、シミがあったりしてもいいのですか?
ちょっとしたシミくらいなら、大丈夫ですよ。
あんまりひどい場合は、ひきとれなかったりしますが。

年配の女性で、誠実そうだし、
では、一度来て見てくださいといっておいた。

若い時に日本舞踊をしていたこともあって、
着物は、10枚上はある。
殆ど、着ることもなく、タンスに眠ったままで、
申し訳なく思っていたわけで、思い切って、出してみようと、
今日来てもらうように約束した。

昼過ぎに伺いますと連絡があって、
やはり誠実そうな男性が、今から伺いますと
電話が入る。かなりシミがありますよというと、
いや、どんなのでもいいんです。

このときに変だなとちょっと引っかかるものがあった。
タンスの中から、
取り出して、1枚ずつ並べてみる。
あの、貧しかった時代に、母が、1枚ずつ買い揃えて
くれた着物。手を通さずに値札が付いたままのものも。

羽織が、1万2千円。いいものではないのだけど、
そのころの、私の月給が、1万5千円だったわけだから、
殆ど、一月分だ。

現金で、買える訳ではないので、お米をお金に買えながら、
一枚ずつ買ったのだろう。
北海道に住んでいるときに収納の仕方が悪くて、
(ものすごい湿気に気が付かないまま仕舞っておいた)
カビがひどく付き、気が付いて、クリーニングに出した時は、
もう取り返しが付かなかった。

それらを、せめて写真で残そうと一枚づつ衣文かけにかけ、
カメラで、撮っていった。
あの人の結婚式に着て行ったもの。
これは、お茶会で着たもの。

などなど、開くたびに、母の思いが、伝わって、涙がこぼれる。
わたしには、姉妹が、たくさんいるのだけど、
たいていが、親の思う結婚をしなかった。
その思いのすべてをこれらの着物に託して、私に持たせたのだ。

やっと、決心が付いたところで、玄関でチャイム。

そこで、いとも簡単に中を見て、実は、
今度、大きな展示会をやるのですという。

それまで、これらの品物を預かっておいて、
代わりに割引券を差し上げます。
いつも、好評なのですが、着物で、作ったバッグや、
その他洋服などたくさん展示しますから、
是非こられませんか?
それで、気に入るものがあれば、この割引券を
お使いになっていいし、
そういうのがなければ、お預かりした、これらの
品物は、責任を持ってお返しします。
確かに、着物のリサイクルはやっておりますが
うちは、呉服屋ですから、着物は、たくさんあるわけで・・・


唖然とした。
電話でのやり取りとは、違うではないか。
この店は、ちゃんと店舗もあり、間違いは、なさそうだけど、
ある意味、詐欺商法ではないか。
結局、その日は、時間が取れないので、
展示会にはいけませんといって、お引取り願った。


この着物たちを生かす方法を見つけようと改めて考えている。
今日出そうとした、着物たちの中の2枚





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