日々の思い

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レコードプレーヤーとモンローの声
2004年10月04日(月)

息子がアルバイトをして得た貴重な給料でレコードプレーヤーを買ってきた。そして私が大昔、今の息子よりも若かった頃に買ってしまっておいたレコードを掛けて聞いていた。
もう寝ようとしていたのだけど、部屋から漏れてくる曲がたまらなく懐かしく久しぶりに胸に言いようのない感情が湧き出した。

「帰らざる河」・・・・・ノーリターン、ノーリターン、・・・のリフレインを聞いていると

瞼の裏に、縁側に座ってお茶をすすっていた祖母(素晴らしい銀髪でいつもきれいにそろえて撫で付けていた)。

長い眉を神経質にぴくぴくしながら、日本手ぬぐいを使ってお風呂で一緒に遊んでくれた祖父、(とても細かくて、行儀作法にうるさく、お風呂の入り方まで細かく注意したがなぜか私には優しかった)

モンローのセクシーな歌声を聞きながら思い出すシーンではないのだけど、どういう訳か大きく瞼に浮かび上がってきたのだ。

ほとんど思い出すこともなく、思い出したくもない、貧しかった少女の頃。
「小学○年生」なんていう本くらいしか、情報源もなかったあの頃。

無口で、無愛想で、不器量な女の子でも夢が持てた。
小学校の図書館に休み時間が来るのを待ちかねるようにして、たった5分でもいいから、走って行って続きを読んだ。

「小公子」や「小公女」の世界にたっぷり浸ってすごすことが出来た。

今は、パソコンに向かってなんでも検索すれば少々のものは得られる。
人の知らないことだって、新聞の端っこに載ってる記事を、手がかりにすれば探すことも出来るし、ほしいものは買うことだって出来る。
それを、便利だし、幸せだと思う。

けど、何にも知らなかったことを、こころをワクワクさせながら図書館に通って、夢み心地で過ごしていたあの頃が、今、また戻ってきてくれたらいいと思う、不可能だとわかっているのだけど。

モンローの声は、どうしてあんなにセクシーなんだろう。
そしてなぜ、涙が出るほど悲しいのだろう。



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