パラダイムチェンジ

2005年12月23日(金) 最後の恋のはじめ方

今回は、クリスマス向けのDVDネタ。
今年見た映画で、クリスマスに一番オススメのDVDは、「皇帝ペンギン」
なんだけど、これは私と同じく一人で寂しいクリスマスを送る男性に
オススメのDVD。
いや、何も独身男性に限った話でもないんだけど。

取り上げるのは「最後の恋のはじめ方」
ちなみに原題はシンプルに「hitch」これは主人公の名前であるとともに
動詞としては引っ掛けるという意味もある。また英英辞典によれば、
結婚する、高い位置に押し上げる、という意味もあるようで。

この映画を一言でいうと「脚本がものすごくしっかりとしたいい映画」
である。
やっぱり、構造のしっかりとした、いい脚本の映画に駄作は少ないと
思うんだよね。

その脚本の出来栄えは、脚本を読んだ途端にウィルスミスが主演と製作
を買って出てしまったほど。
物語の冒頭のセリフはたしかこうである。


基本ルール
"いい男なんか要らないわ"と願う女は、まずいない

"今はタイミングがイマイチだわ"と言う女はいる
または、"存分に自由を楽しみたい"って女も
もしくは、"男よりキャリアが大切なの"って女もいる

君は信じないだろ?
そんなことを言う女は嘘をついてる
わかるかい?大嘘だ

"タイミングが悪い?"
"自由が欲しい?"

確かにキャリアは大事
でも本音は"私をほっといて"
もしくは、"このクドき下手!"
思い当たる?

人間の意志伝達の60%は言葉ではなくボディランゲージ
30%は声のトーン
つまり90%の"会話"は、言葉じゃない

彼女は相手を傷つけまいと嘘をつく
知らない相手だから当然

幸いにも相手がどんな美女でも、すべてはクドき方次第
だから僕の職業が成り立つ



こういうセリフが冒頭にある映画なら、面白くならないわけがない、
とウィルスミスは思ったそうで。
その他にもこの映画には、素敵?なプリンシプルがいっぱい出てくるの
である。

そしてこの映画がうまいな、と思うのは、そういう基本ルールを教える
相手にとびきりキュートな俳優を持ってきたことである。
それが会計士役のケヴィンジェームス。

彼はいわゆるデブで、ちょっとMr.インクレディブル(結婚後)似のモテ
ない君なんだけど、あろうことかセレブに恋をしてしまい、デートコン
サルタントのウィルスミスに相談を持ちかける。

そのウィルスミス演じるヒッチ自身もそのセレブを追っかけている
ゴシップ誌記者のエヴァメンデスと恋に落ちる、というかスマートに
エスコートをする。

彼のエスコートテクニックは、ホイチョイプロダクションも真っ青位、
デキすぎなんだけど、どうしても最後の詰めが甘いあたりが憎めなくて
自然と顔がほころんでしまうのである。

そしてヒッチの対極に、セックスだけしたら後でやり捨てする男(SEX
AND THE CITYでは敵呼ばわりされてそうな独身貴族)を持ってきたこと。
そう、あくまでヒッチが手助けするのは、彼女と本気でつき合いたいと
思っているけど、自信のない男性のみなのだ。

そして最もうまいな、と思うのは、最後の決め手がヒッチのテクニック
だけではない、という風になっていること。

そう、どんなにエスコートがスマートでクールだったとしても、やっぱ
り最後の決め手になるのは、その人の気持ちなんだと思うんだよね。
逆に気持ちを貫けず、どこかで臆病さが顔を出してしまうから失敗して
しまうことって、よくあると思うのである。

だから、実は告白がうまくいくかどうかって、相手に対して「I Love
You」というシンプルな言葉が、相手の心に届くかどうかなんだと思う
のだ。
そしてこの映画でもいうとおりに、その要素の60%はボディランゲージ
であり、30%は声のトーンなのかもしれない。

そういえば、以前ビートたけしが、筑紫哲也の対談本「このくにの行
方」
の中でこんな発言をしていた。


「昨日、浜崎あゆみと話したけれど、やっぱりあの子はいい感覚して
いるな、と思ったんですよ。というのは、『お互いを好きになって、
結婚とか愛とかいうときには、よく知り合ってとかいうけれど、よく
知り合うその前は、一瞬の判断で決めているんじゃないの?』という。
『心なんかぜんぜん見えていないのに、好きになる。どうして話し合っ
たあと、好きになるの?』というんだ。

会った瞬間に好きになって、それを確認するために話し合っていて、
もっと好きになるか、話してみたらいやな人だったということになる
のに、どうしてお互いを知るところから始まるのか。それは恋ではない
というから、いい感覚しているなあと思ったんです。

おれもそうで、人間というのは社会をつくって、そこにいろんな人間が
いるんだけれど、相変わらずわれわれはごく一瞬の判断で、いろんな
人間を好きになっているだけなんじゃないかな」



自分の経験でいっても、どんなに最初に会った印象がよかったとしても
その後の態度がダメダメすぎたら、百年の恋も一気に冷めてしまったり
する。そのためには多少のテクニックは必要なんだと思う。
だけど、最後にモノをいうのは、その人の気持ちの熱さなんじゃないの
かな。
それは例えば、「59番目のプロポーズ」の59番さんしかり。
そういえば、結婚が決まったそうで、おめでとうございます。
(読んではいないだろうけど)


だからこの映画を見て、告白する勇気と、洗練されたスマートさを
身につける男性が増えたらいいのにな、なんて思うのである。


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harry [MAIL] [HOMEPAGE]

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