蛇腹食堂
書人*なび太

   

  




あなたの町の電気屋タン
2003年11月04日(火)
我が家の冷蔵庫が不調だ。

5日ほど前から、
温度を下げる時のモーター駆動音が大きくなった。
一昨日辺りからは、
常に小さく「ヴィィィ」と、
唸り続けるようになってしまった。

無音状態のダイニングで新聞など読んでいると、
気になって仕方がない。

「…。」
「ヴィィイィィィィィィィィ」
「…。」
「ヴィィィィィイィィィィィィィ」
「……。」
「ヴィィィィィィィイィィィイィィィィ」

「ホーミー*1」かよっ!

しかも、そのアンニュイなヴォイスが、
段々大きくなってるような気がしてならない。

母さん、大変だ!
このままじゃ、
全国のウシたんが我が家に集まってきちゃうよ!


、ということで(変な臭いしてたしね)、
急遽電気屋さんに電話して見に来てもらうことになった。

1時間後、電気屋のおじさん登場。
しかし、このおじさん、ちと変。
妙に低姿勢なのはサービスマンとして大変結構なのだが、
なんというか、こう…、
挙動不審。いや、というか、挙動不信。
人の家で柱の角に脚の小指ぶつけたりしてるし。
大丈夫なのか…?
なんか昔のCMで見たのは、
渋い声で鼻から上は絶対に見せないカコイイおじさんだったが…。

「ああぁ、確かに音が鳴ってますねぇ。
 とりあえず裏側から見てみましょうか。
 ちょっと、
 移動させるの手伝って頂いてよろしいですか?」

おじさんの言うとおり、
裏側が見える場所まで冷蔵庫を移動させる。
と、そこで何故かおじさんが絶叫した。

「あひゃーっ!
 ク、クモォォだぁぁぁ!!」


見事なまでに昭和時代のリアクションである。
おじさんもビックリだが、
僕も母もビックリだ。
確かに冷蔵庫の後ろに蜘蛛が居た。
しかしそれは、例によって、
我が家のアチコチに生息する家蜘蛛タン。
小さくて、ピョンピョン飛び跳ねるアレ。
時折、トイレで力んでいたら、
目の前の壁をシタタターッと登ってきて、
別の壁めがけて「トゥゥゥッ!」と跳躍した後、
着地に失敗して大変脱力させてくれたりするが、
基本的に害は無い。

しかし、おじさんは生理的に蜘蛛がダメらしく、
怯えるばかりで作業を始めようとしない。
仕方がないので、
僕が壁を叩いて家蜘蛛タンを追い払った。
家蜘蛛タンは、
「こりゃどうも失礼しましたー」
という感じで壁を登っていって姿を消したが、
おじさんはハァハァと荒い息を吐きながら、
「お、お客さん、
 よく平気であんなことできますねぇ。
 すごいなぁ。尊敬しちゃうなぁ」
と感心することしきりであった。



いいから早く仕事してくれよ。



*1ホーミー
西モンゴルのアルタイ地方で発生した唱法。
声帯を振動させて気管や喉で倍音を共鳴させる技巧で、
同時に2つあるいは3つの音声を発してハーモニーを聴かせる。
牛や羊などの牧畜に聞かせると、
ついつい釣られて集まってくる(?)




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