いっしょくんの日記

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なんとなく 書くんで〜
なんとなく 読んで下さいね。

2002年09月09日(月)  おはなし 3

 パソコンが壊れてしまい
 失ってしまった おはなしが・・・
 なんと!なんと!私の元に戻ってきました
 こんな拙い物を 大切に保管してくださって
 心から感謝します
 ありがとうございました!
 心が躍ります!!嬉しい・・・

 またパソコンが 忘れてしまう前に
 載せてしまおうと思います
 おはなし銀行みたいですよね・・・

 今回のお話は
 北欧の人たちが
 妖精を信じていて
 寝る前に台所にビスケットを置いておく
 夜 妖精が来て 家の仕事を進めてくれて
 帰りに食べていく・・・
 それは人間からのお礼だ・・・というお話を聞いて
 書いたものです
 情景は浮かぶものの やはりお話にしていく力がないです
 一度に頭の中で起こる事を書き留めるのって
 難しいです・・・


       満月の夜に  


  一日中 とても天気がよかったのです
  そしてそのままお日様は空を燃やしていきました
 
  そんな日の夜は 空のお仕事をねぎらうように
  星が優しく 輝いて 癒していきます
  これからはじまる素晴らしい光景を
  みんなに知らせるかのように

  そしてその時はやってきました
  欠ける所の無い 完璧な円が
  あたりを 明るくし始めたのです
 
  赤みを帯びたその円は いつもとは違った色で
  表情豊かに 昇り始めてきました
  静かでひかえめな いつもとは違い
  何かいいたげに こちらを照らします

  「ふぅーーーーーーーーーーーーー」

  長い長い呼吸・・・・・
  その円は 初めてお腹から息をしたように
  大切に慎重に 空気を取り入れています

  ・・・・・・・満月   
         
  なんて素晴らしい形
  輝き 色なんでしょう

  少しずつ高くなるにつれて
  満月の輝きは 白く鋭い光に変わっていきます
  淡く赤みのある優しい光から
  鋭く すべての内も外も見抜いてしまうような
  光に移り変わるのです

  昼間 身を隠していた者たちが
  やっとこの時がきたと言わんばかりに
  そこここでうごめき始めます
  人には見えない者たち 伝説や物語にしか
  現われないと思われていた者たちです
  かれらの形は様々で ごつごつと石ころのようであったり
  透きとおって向こう側が見えてしまうものであったり
  薄い羽根のあるものであったり
  光り輝いて形のないものであったり

  形は様々で同じ者はいないのです
  でもそれぞれに言葉を持ち
  どんな言葉でもお互いに分かり合えるのです

  普段 人には見えない彼らですが
  どうしても姿を隠せないのが 満月の夜だったのです
  
  ゆっくりと高くなる満月
  この満月の光にあたると
  どうしても「影」を落としてしまうのです
  影が見えると彼らの存在は人にもわかってしまうのです

  彼らはその影を隠すのに
  あれこれ思考を凝らすのでした 
  木の洞に隠れこむもの
  水の中に入り込む物
  揺れる木の枝にしがみつき
  葉に似せて揺れる者もいます

  それぞれが工夫して 
  何とか満月の光が作る 影が見つからないようにするのでした
  
  この夜も それぞれが自信をもって影隠しをしていると
  まだ生まれて間もない仲間が5人 満月の影の事を忘れて
  枝から枝へ 草から草へと 追いかけっこをはじめました
  
  「僕の足に勝てるやつなんかいないさ」
  「あーら!やってみなけりゃわからないわ」
  「ずるいよ 僕だって本気を出せば早いんだ」
  
  そんな事をきゃっきゃと話しながら 動き回っています
  満月の光に体は美しく映え 影が5つ動いています
  彼らの声は人には聞き取れませんから
  もし近くに人がいても 
  ブーンブーンという音にしか聞こえないでしょう
  
  満月がだいぶあがってきたころ 
  ざわざわしていたあたりが 静まり始めました
  人が歩く時がきたからです
  人はこのあたりでうろうろするおおかみが
  家畜にいたずらをしないように 
  大きな銃を手に 見回るのです
  
  「きたっ!」
  
  それぞれが自信を持って影を隠していますから
  見つかるはずがありません
  中にはいたずら好きもいて 人が通る木の上で
  「きゅっ」と声をかけたりしました
  人には何の音かわかりませんから
  枝が擦れ合った音だろうと 気にもとめませんけれど…
  「もしも気がついたら」・・・なんて彼らがドキドキワクワクするには
  丁度良いいたずらです

  さて さっきの5人は…
  大変! 追いかけっこに夢中で 草の上を転げまわっています
  満月が明るくて 走りやすいせいもあるのでしょう

  人の足元に近づいていきます 

  『だめだめ 気をつけて!』

  誰もが心の中でそう叫びました
 
  『あっ!ぶつかる!!』

  と・・・そのとき

  あたりにたくさん動くものが・・・・
  人は足を止めてあたりを見回しました
  満月の光があるとは言え 夜ですから
  はっきり何かを見ることができません
  ただ…何かが・…
  頭の上を横切ったり 浮かんでいるようにも見えたり
  風で飛ばされているようにも見えます
  人は最初 虫が飛び交っているのかと思いました
  でもそれはあまりにもさまざまな大きさで
  動きもまちまちで 鳥のように見えるものもありました
  
  「……これは……」
 
  人は 昔からこの地方に伝わる 妖精や精霊の話を
  思い出しました 

  「これがあの 物語で聞いた 妖精かもしれない… 
   だとしたら このまま知らないふりをしたほうが良さそうだな」

  歩きながら食べようと 
  家を出る前に掴み取ったビスケットを
  ポケットから出して そっと足元において
  ゆっくり注意深く歩き出しました
   
  妖精達は 自分達がうまくやったと思い
  安心して人の姿をやり過ごしました
  
  驚いたのは そこに置かれたビスケットです
  妖精達も年をとった仲間から 話に聞いているだけでした
  昔 妖精は 真夜中に人の住む家のなかに忍び込み
  繕い物の手伝いをしたり 壊れた椅子を直したりして
  人の仕事の手伝いをしました 
  それは人と妖精が とても信頼しあっていたからです 
  そして必ずビスケットをいただいて帰ってきたのです
  その お話しでしか知らなかった ビスケットが
  いま 目の前に…
  みんな大喜びです 「人が靴を直したときに落としたんだ」と
  誰かが言います 
  「私達を知っていておいていったのさ」と言う者もいました
  子供達にしてみたらどちらでもいい事
  はやく ビスケットを口に入れたい思いでいっぱいです
  1人がすすっとビスケットに近寄り 小さなこぶしで  
  トントンと叩くと きれいに同じ大きさと形に割れました
  何でも分けてしまう妖精の魔法でした

  待てないといった様子で 生まれた順に
  ビスケットを取ります
 
  みんなにいきわたると 乾杯の時のように
  高く掲げて 「満月に・・・」
  と誰かが言うと みんなが続けて 
  「満月に・・・」とそろって言いました

  それぞれにビスケットを食べる者 
  大切に包んで持ち帰る者 いろいろです
  
  1人また1人とものすごい速さで 
  何かに吸い込まれるように消え始めました

  思い出したように辺りをなでる風は
  眠さのあまり あたたかくなることも忘れ 
  冷たいままゆっくりと通っていきます

  最後に夜風が 大きな楡の木に別れを告げたとき
  遠い空の果てが 黒から 蒼へと変わり始めてきました


             ・・・・・おわり・・・


 妖精の話や魔法使いの話は
 形や 何者であるかを はっきりさせたくないものです
 できるだけ想像したり 空想することができたら
 そんな風にお話を楽しめたら素敵です
 楽しみたいし 楽しませてみたい
 ちゃんとおはなしの勉強もしないで
 そんな夢ばかり膨らませて・・・ 
 でも・・・書いている間は とても楽しいです

 そういえば・・・
 もうすぐ中秋の名月ですね
 9月21日・・・芋名月
 月光浴ができるといいですが・・・


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