早春譜 2002年02月25日(月)
夜のたびに 娘は窓辺に立って手招きをする 明日が早く訪れるように 未来が早く顔を見せるように 春の気配を含んだ風が 胸騒ぎを運ぶ あわてて 窓を閉めてみても 娘の手のひらには 明日の欠片 そんなもの捨てなさい 何度言ったらわかるの 良いことなんて何も無いのよ なにも 未来に希望を抱くなんて 私の育て方が悪かったのかしら 乳の匂いをしていた頬が いつしか花の香りに変わって 私は怯えているのに 娘は手招きをする 未来を手招きする 繰り返し上下するその手は 私という過去を追い払う仕草 なのかもしれない 木蓮のつぼみが もう はじけそうだ |
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