偉大なる児童文学者R・サトクリフ 2002年03月06日(水)
ファンタジーとは微妙に違うのですが。英米児童文学を語る上で外せない作家。 非常にコアなファンを生んでいるという意味でも特徴的かも。 受け付けない人には全く受け付けない、ある意味児童文学らしくない、重く暗い作品が多いかな。 ともしびをかかげて 運命の騎士 第九軍団のワシ 王のしるし 銀の枝 子犬のピピン ローマンブリテンや、アングロサクソンの時代を主題に取って、子供の世界から大人の世界へと、時代の激流に流されつつ歩んでいく少年(青年)の姿がしっかりと、世界の残酷さも余すところ無く拾い上げて語られます。 子供には明るく楽しいお話ばかり与えれば良いという考えに、私は全く反対です。 実際、子供にとって世界は解り易く面白く楽し事ばかりでは無く、理解不能で辛くてしかも圧倒的な力を持つ存在として立ち現れる事もあるのですし。 そうした状況でも、立ちつづける力というのを、語る物語は必要ではないのかと。 つーかね。 「シートン動物記」をあんなに面白くない話にした、最初の犯人は誰!って感じなんですけど(はなし飛びました) 無慈悲なまでの自然の力とか、弱肉強食の掟に逆らいつつも必死に生きる動物の姿をですね、こうすっぽりと抜いて、動物の可愛らしいところばかりを拾い上げた低学年向けの(教科書にまで載せやがって)「シートン動物記」は、あれは犯罪ですって! 原典約を読んで(当時中学生)、憤った日のことを私は忘れてはおりません。 いやいや軌道修正して。 サトクリフが愛されるのは、やはりその話の暗さ、暗さの中でも生きていく人の強さが、確かに描かれているからでしょう。 というわけで。 私の一番は「王のしるし」 同士少ないです(笑) 普通は「ともしびをかかげて」 確かにそちらも好きなんですけどね。 人が、何者かとして生きるとはどういう事なのか、他者との関わりの中でこそ生かされる、そのことに返せる答えは何なのかと考えるときに、やっぱりこの作品を思い出してしまいます。 とりあえず「ともしびをかかげて」を読んで大丈夫だったら(笑) その後に是非、「王のしるし」をどうぞ |
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