あまおと、あまあし
あまおと、あまあし
 なをつけて 2002年05月04日(土)

 目を閉じ耳をふさいでも
 決して
 見失うことができないのは
 それが
 私と共に生まれたからでしょう

 雨の気配に狂おしく
 歓喜の声をあげる蛙と同じく
 私の身体もまた
 春の苦菜を夏の冷たい瓜を求めてうごめく
 一匹の生き物にすぎません
 それは一つの循環
 大地の上に繰り返される
 物語とでもいうのでしょう 
 けれど
 生命の力を全て使い
 繁殖のための花を咲かせる木々の
 恋の歌をうたう鳥たちの
 熱情の理由を私は知らないのです

 孤独とは
 抗いがたく大地に縛られながら
 放置された心の 
 希求の形でしょうか

 環を転がす見えない手が
 何を望んでいるのか
 なぜ
 この心までも縛り付けてしまわぬのかと
 大地から遠く離れた寝床のうえで
 頬を辿る誰かの指先の
 熱を
 煩わしく思いながら
 それでも
 熱のない世界は寂しすぎると
 身体が泣くので
 すがらずにいられないのです

 厭いながら

 求めるのです

 たぶん

 ………孤独とは

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 著者 : 和禾  Home : 雨渡宮  図案 : maybe