雨に似て 2002年05月26日(日)
煙は真っ直ぐに空へと昇っていました きっと迷いもしなかったのでしょう 貴女のことだから トンビが輪を描いていても 緑はまぶしいものと 決め付けていたのは うつむくことが無かったからで 射抜かれた影を見つけて めしいたような気持ちになったのです いまさら いまさら 本当に今更 思い出してしまって 晴れ渡る日の木陰を貴方と訪れたことを あれも今日のように 雨の気配の無い日でしたね 山吹を摘む貴方の指は 泉の底の魚のようで 泳ぎださないようにと 必死に握り締めたのです いつか 真っ直ぐに駆け上りたいけれど 貴方のように迷わずに ゆけるでしょうか 泳ぎだしてしまった貴方を追って 木陰の暗さを思い出した私に せめて 鳶のようにゆるゆるとでも 盲いた目を無理やり空へ向け 雨が降らないかと 祈らせてください 少しだけ 少しだけ 雨が降らないかと 雨を |
|||||||||
過去 | 一覧 | 未来 |