あまおと、あまあし
あまおと、あまあし
 (無題) 2002年10月21日(月)

見えていますか

尋ねても
答えは返らないでしょう
透明なガラスの向こう
風景は夏の緑に満たされています
いつまでも
きっと変わらずに

さようなら
それとも
また、こんど?

ブランコは揺れています
わたくしたちは
ひかげとひなたを往復する
小さな椅子の動力機です
春と
秋と
憧れて惑うて
停止する夏を忘れるために
小さな身体に力をこめて
漕ぐ
のです

さようなら
さようなら
さようなら

何度目かの声を与えられるまで
向こう側の景色に口づけを投げて
もういちど
いつか触れて囁きかわす
その日が来るまで

さようなら

(また、 )

さようなら

( ……いつか )

さようなら


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 著者 : 和禾  Home : 雨渡宮  図案 : maybe