あまおと、あまあし
あまおと、あまあし
 2003年08月06日(水)

君の骨は
桜の色をしていて

  夜の街を
  歩いている

  歩いている

昨日の夜は高橋さんの家の前で
踊っていたんだって?
骨壷にも入らずに、まあ
笑われたさ、僕は甲斐性無しだと

 ねえ君
 桜色のその眼窩から
 見上げる夜の色はどんななの?

  たとえば
  街灯が幾つも並ぶ、この路地の間の空には
  グラウンドの水銀灯の白とか
  信号機の赤青黄色とか
  工場の常夜灯のオレンジ色が滲んでいて
  夜
  なんて色はどこにも見つからないのだけれど
  その桜色の穴を通せば
  見えるのかな

   墓穴は
   君を納めるために口をあけているのに
   歩いている
   君は
   踊っている

ほら、夜
ほら、ふけてゆくよ    

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 著者 : 和禾  Home : 雨渡宮  図案 : maybe