あまおと、あまあし
あまおと、あまあし
 2004年02月11日(水)

卵の形は徹頭徹尾卵で
剥かれたとしても卵のまま
黄身は見えないだろう

と 思って直ぐに訂正した二月の午後

握った拳を何度も緩めようとして
零下の空気の冷たさに
開かないことを選択した

岸辺の桜は梢の先で
春を語っている
けれど君、今は冬だ
三月が来たとしても

川を渡る、その為に必要なものは
多分それほど多くは無い
例えばそれは
こうして語る言葉が誰かの耳に拾われるのだと
信じるような気持ちのことで
簡単なんだろう、きっと

卵は剥かれたくはないのだ
だけど
剥かれたくはないのだ、卵なのだから
開かれた殻からあふれ出した黄身は
全く別のものになるだろう?
だから君
剥かないでくれたまえ
結んだ指を無理やりに
ほどこうなどと


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 著者 : 和禾  Home : 雨渡宮  図案 : maybe