あまおと、あまあし
あまおと、あまあし
 2004年03月24日(水)

(それは、夢で)届くはずも無いのだ

皺だらけの私の手
  に似た貴方の手
     にも似つかない沢山の手
       が

     記憶を握りしめて
     振り向いた足元に続いている
     その夏の日は
     その秋の宵は
     その冬の終わりは
     (どうして、君には見えぬのだ)

     節くれだった指が
     幾つも連なりながら紡いだ糸は
     泥の中に沈んでいる
     (機を織るための棹は誰かが舟にしたのだ)

  乾いた目をこすり
  ああ、春の湿り気は何処へ行ったのだろう
  無数の手がくみ上げた
  水は
  (遠くに)
  
   (遠くに) 

     
     
          





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 著者 : 和禾  Home : 雨渡宮  図案 : maybe