レプリカントな日々。

2002年07月21日(日) オヤジたちの熱い水泳部。ーーーロックアウト編ーーー


 本格的な思い出話を少々・・・。
 私が通っていた中学校は、名古屋でも1,2位を争うマンモス校でした。
 その中でも特に目立っていたらしい?のが我々3バカトリオでした。
 「愛こそ全て。いつか芥川賞を取ってやる」がスローガンの「責任者」と呼ばれていた私ことF。
 「いつか必ずハーレムを作ってやる」と女体以外には全く興味の無いY。
 「革命だ、革命」と当時からかなり危険だったK。
 そんな3人が水泳部で出会ってしまったわけです。

 ビキニの海パンにバスタオルのマントを付けて、校内の様々なクラブ活動に従事していました。(泳げよ・・・)
 あるときは卓球部。あるときは陸上部。演劇部なんてのもありましたね。
 日頃「水浴びクラブ」と小馬鹿にされていた野球部とは仲が悪かったです。
 男子は丸刈りと黒ソックスが義務というアナクロニズムを抱えた学校でしたけど、部活は生徒の自主性にまかされていたようです。
 時々見回りにくる先生の目を逃れ、海パントリオが今日も行くってなもんです。部活に参加させて頂いたお礼に3人で踊る「カモメの水兵さん」は結構好評だったのではないかと・・・。

 私とKはそれなりの注意を払って遊んでましたし、ええ、逃げ足だけは早いです。Yという男、こやつは女体以外には何も興味が無いので、注意が散漫というか、女子部員を見つめ過ぎというか、いつも逃げ遅れます。
 先生に捕まっては「F〜〜〜」と悲しげに私の名前を叫ぶわけです。フェードアウトしていくアホの叫び声を遠くに聞きながら、二人ですたこらさっさと逃げます。一緒では危険なので、バラバラに逃げ、逃げおおせたあとで落ち合います。
 んで暫くすると「責任者、ちょっと来〜い」と校内放送が入りますから、隠れ家でタコヤキを食べながらまったりしてるにも関わらず、仕方なしに身柄を受け取りにいきます。
 「もっとしっかり面倒見んか」と「私が」一発殴られて終わりです。

 サッカー部で活躍してた頃・・・このアホのYがいつものように猥談をバックス(今でいうディフェンダー)としていたせいで、1点を相手に献上してしまいました。タコヤキ&ジュースがかかってますので、取りあえず蹴りを入れてからお説教をかまします・・・。
 「もっとしっかりカバーしろよっ」
 Yは昔、トリだったようで、くるっくーと鳩が豆鉄砲くらったような顔をして悩んだあげく・・・。
 「かば〜〜〜かば〜〜〜」とトリがはばたくように舞い始めました。
 サッカー部員まで踊るなよ・・・。しかも流行るなよ・・・。
 この時のことがトラウマになったのか、奴はいまでも時々小さくはばたいてホバリングします。
 あのな、いくらはばたいても人間は飛べないんだってば。
 勝負は? 私たちの笑わせ勝ちでした。

 校内最大の私と、校内最小のKとは、何故かいつも喧嘩ばかりしていましたけど、遊ぶ時はいつも一緒で、私は彼をいつも肩に乗せて走ったり泳いだりしてましたね。
 力でねじふせる私のやりかたに対抗して「目玉潰すのに力は要らねえんだよ」と小さな体でぼそっとつぶやく、そんな奴でした。何度か本気で殺されそうになりましたので、こやつにはかなり護身に関する心得みたいなものを学ばせてもらいました。(笑)

 中3になった時、当然最年長の中から部長が選ばれるわけですけど(勿論水泳部の)民主的な方法をということで選挙が行われました。
 通常、最速の部員が部長をするのが通例なんですが、私(<当時は名古屋市でベスト10に入ってました・・・)はハナからする気など無かったし、Fに部を任せるととても危険だ!ということで投票になったんですが・・・。
 私は勿論、どいつが部長だと一番遊べるかということだけ考えて投票しました。
 アホのYがしっかり立候補してましたけど・・・。
 「私が部長になった暁には、女子は全員トップレスで泳がせます」って、おい・・・男子部員も投票してないじゃん。(笑)
 「ばーかばーかばーか(延々とリフレイン)」というKの言葉責めをくらったのはいうまでもありません。

 ということで選ばれた部長、名前と名字がほとんど同じ音だったせいで「キャンディキャンディ」というあだ名の奴です。
 副部長にはもっこりで目立っていた「ニイタカヤマノボレ」もしくは「スカンジナビア半島」というあだ名の男子部員。
 女子部長にはいつも私に「Fくん、もっと真面目に云々・・」と、いつも私に説教をしてくれてた女子部員。あだ名は当然「吉川くん」
 いや、別に私は太陽に向かって走ったりはしないタイプなんですけど。

 5月の最終日曜日がプール開きです。
 プールでの練習が始まったある日、キャンディキャンディが青スジを立てて私たちに説教ぶっこくんです。
 去年までは「ハック」という私よりでかくて速い、先生ですら従ってしまいそうな威厳を持った1コ上の部長がいましたので、私たちが悪さをするたびに「お前ら、草むしり行ってこい」と、学校周辺の草むしりを罰としてさせられていました。
 「むかし〜むかし〜草むしり〜助けた亀と草むしり〜 竜宮城で草むしり〜絵にも描けない草むしり〜」と歌いながら草むしりをしたものです。
 ところがどっこいしょ。
 威厳も何もないキャンディキャンディでは、我々だけでなく、誰も何も聞いちゃあいません。
 まぁ・・・色々ありまして・・・(校閲削除)
 そして、とうとうブチ切れたキャンディキャンディは「お前ら3人全員退部」という決定を下したわけです。
 「ああ、やめてやるよ!こんな部活」と、見得を切ったYでしたけど、私とKに「よし、やめろやめろ」と声を揃えて言われたせいか「やめるもんかっ!」と開き直るという一幕も。泣くなよ・・・冗談だろ・・・。(ダチョウ倶楽部の上島竜平を見ると、いつもこのシーンを思い出します)
 プールサイドでの話し合いでしたけど、私には閃くものがありました。
 「少し考える時間をくれ」と、二人を連れて部室に入りました。
 最近3バカトリオに付いて回ってる、Sという1年生も付いてきちゃったんですが・・・。「尊敬してます」って目をキラキラさせて言わないでくれ・・・巨乳の姉ちゃんに「うちの弟をバカな道に引きずり込まないでくれる?」って叱られるんだぞ・・・。

 そーなんです。
 内側から鍵をかけて部室に立てこもったんです。(笑)
 暫くしても出てこない我々をいぶかしんで、部員達が部室前に集まり始めました。
 目の前にいるんですが、ハンディメガホンで叫びました。
 「我々わぁ〜〜〜我々のぉ〜〜〜退部の取り消しとぉ〜〜〜部長の解任を要求するぅ〜〜〜我々わぁ〜〜〜要求が貫徹されるまでぇ〜〜〜ここを封鎖するぅ〜〜〜以上!」
 Yは緊張のあまりはばたいています。
 Kは「これがロックアウトかぁ、安田講堂を思いだすよなぁ、ちきしょー火炎瓶持って来りゃ良かった」とか言ってますけど・・・思い出すなよ・・・。
 んなもの投げるなよ・・・放水は無いから安心しろって。
 奴等の着替えは「ここ」にあるんだから。
 まだ肌寒い6月の頭、私たちは男子部員の着替えを人質に、立てこもったわけです。
 ったく・・・テレビ世代のガキは怖い・・・。

 最初はまぁ、文字通りごく当たり前の説得がありました。
 吉川くんもドラマ通りの説教をくれましたし。
 中には面白い奴もいて「君たちのご両親は泣いているぞ」とか叫んでるのもいましたけど。
 当たり前の話なんですが、それで退部が取り消しになるとか、部長が解任されるとかは全く考えていませんでした。
 いつもの冗談のつもりだったんです。
 ま、最後に一花ってやつですね。

 先生が来て一件落着というオチだと考えていましたし、私も先生を前に立てこもりを続ける気はありませんでした。
 ところが。
 当時の顧問はやたらさばけた人で、生徒同士のもめ事には介入しないポリシーな人だったんです。
 女子部員が泣きながら呼びにいっても「自分たちで解決しろ」とだけ言って、取りあわなかったそうで。

 鉄の扉越しに、説得と拒否が続けられました。
 そろそろ飽きてきたんで、早く先生来ないかなぁなんて考えてた頃、吉川くんがキャンディキャンディ&ニイタカヤマノボレを説得したらしく、最後の説得に来ました。
 「部長は解任しないけど、あなたたちの退部は取り消すわ」
 日も暮れて薄暗い中での決定でした。
 もうかれこれ3時間は立てこもってたでしょうか・・・。
 ふと後ろを見ると。
 YがSに「女はいいぞぉ〜〜」と猥談の真っ最中。(だからぁ、俺があんたの胸を揉めってSに言ったんじゃないって・・・>姉ちゃん)
 Kはずっと「放水しろよ、てめえらそれでも男か。官憲を呼んでこい。機動隊呼んでこい。鉄球なんか怖くないぞっ」とわめいていました・・・。
 呼ぶなよ・・・。
 Yが私を見て「なぁ、そろそろタコヤキ食いにいかねえか?」と一言漏らしたのをきっかけに、私は彼らの決定を受け入れることにしました。

 「我々わぁ〜〜〜その回答を受け入れるぅ〜〜〜」

 部員たちから歓声が上がりました。
 ええと・・・部長・・・泣くなよ・・・。
 俺が悪かったって・・・。
 明日からちゃんと練習するからさ。

 Kはなおもわめき続けてました。
 「この根性無しどもめっ、放水するのが世の理ってもんだろっ」
 ヨノコトワリって、食ったらうまいものか?
 タコヤキよりうまいのか?
 チェリオよりうまいのか?

 Sよ・・・その誇らしげな態度はやめたまえ・・・。
 見てる俺が恥ずかしいじゃないか。
 ええ、姉ちゃんからは以後シカトされ続けました。(笑)

 とっくに着替えて帰るばかりの身支度だった私たちは、海パンいっちょで締め出された部員達に別れを告げて、タコヤキ屋に向かいました。
 何故か・・・誰も私たちを責めなかったのが今でも不思議です。

 次の日。
 水泳部の顧問の先生に、練習前に4人で呼びだされました。
 「あまりキャンデイキャンディやニイタカヤマノボレを苛めるなよ」
 そう一言だけ言われ、私が代表で一発だけ強烈なビンタをくらいました。
 その日は日が暮れるまで、校庭の草むしりでした。
 俺が殴られた瞬間、お前が悲鳴を上げて転んでどうする?>Y

 ああ・・・なんだか色々思い出しちゃった。
 続けよっと。

 次回は冬の水泳部の遊び「机渡り」をお送りいたします。
 この日記は全て実話です。マジで。







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