2002年07月22日(月) |
オヤジたちの熱い水泳部。ーーー机渡り編ーーー |
暑いっすね。 とうとう梅雨明けだそうで。 夏本番です。日曜日だというのに外は灼熱ヂゴクです。 こそこそ書いていた私小説のデータを、パソコンのシステム移行時にどこかに見失ってしまい、発見できなくてかなり凹んでいます。 がお〜〜〜。(涙)
水泳部といっても単なる中学校の部活ですから、有名私立校のように屋内プールがあるわけでなし、当然冬場は陸上トレーニングが主となります。 腹筋やら腕立て伏せやら、学校の周りをひたすら走るといった地味〜なことばかりの暮らしになるわけです。
そんな暮らしに3人が我慢出来るはずもなく。 今日も今日とて3人の悪巧みは続きます。 私はランニングというものを嫌悪しておりまして、その戦いは小学校から高校まで続くわけですが・・・。 部活の練習なんてどこも一緒で、柔軟体操をしてから走り出すわけです。 ただ、その日はいつもと違いました。 走り出して暫くすると、昔はトリだったYが、お腹を押さえてうずくまってしまったんです。 「うお〜、腹が痛ぇ〜〜」 すかさず私が介抱します。 「大丈夫かっ、をを、これは大変だっ、保健室に行かねばっ」 クサイ芝居ですが、そのままヒミツの隠れ家に直行します。 ええ、そうやってしばしばランニングはさぼってました・・・。 フォーメーションBといいます。
冬のプールは水を半分だけ抜いて、そのまま放置してあります。 我々は近くの川で釣りをするのが好きで「釣りの上手な少年たち」ということで地元の新聞に掲載されたこともあります。 休みの夕方に釣りに行き、クーラーに水を張って生かしておいたフナやコイを、家に帰る途中、プールの塀越しにプールに投げ込みます。 ホッチキスで色紙のタグをヒレに打ち付け、名前をつけて飼ってました。
ある朝のこと・・・。 「ゆうべ俺の山田が死んだらしい」 「えっ、俺の幸子は大丈夫なのか?」 「いや、朝練をしてたテニス部の奴に、緑のヒレのフナが浮いてたって聞いただけだ。でも、昨日の夕方、Kが幸子に新開発のモリを打ち込もうとしてたけどな」 「あの野郎、俺の幸子を不幸にしやがったら、ぶっ殺してやる。あいつの『赤い旅団』(魚の名前です・・・)も生かしちゃおかねえっ」 私の話を聞いたYは、Kの教室にすっとんで行きました・・・。 どうやら私の『山田』は、Kの最新の武器の試射の犠牲になったようで。 あまり腹が立たなかったのは、何故かプールに放流した魚たちは、一週間と持たずに死んでしまうんですね。「最長育成記録」を目指して3人とも頑張っていたのですが。濾過の機械は止まってますから塩素は抜けているはずで、ただの水道水のハズなんですが、今も原因はわかりません。
すいません、おバカで。よい子は生き物で遊んではいけません。
さ。気を取り直して本題の「机渡り」です。 私が中学生の頃は、まだ木の机を使っていました。二人で使用する大きくて重い木の机です。 それがたまたまプールサイドに置いてあったんですね。 やたら寒い真冬のある日、堂々とサボリを決めこんでプールサイドで3人でダベってました。 コンクリートが冷たくて机の上に寝ていた私は、ふと面白いことを思いついちゃったんです。 プールの水は半分抜いてありますから、その机を沈めると、浅い所で5センチ程が水面に出るくらいです。大きな木の机ですから、浮力も大きく、少し気を抜くとひっくり返りそうになります。
そーです・・・「稲葉の白兎」です。 机に乗ってプールを向こう側まで渡ろうと思いついちゃったんです。 ただ、机は一個ですから、それを長手方向にぐるんと回しながら、その上を歩いて移動します。 プールサイドから進行方向に向けてまっすぐ机を放り込み、その上に乗ります。 進行方向の端に乗り、反対側を体重移動で持ち上げます。 机が立ち上がりそうになったら、素早くその「上」に移動します。 そして、進行方向に倒しながら、叉素早く、今度は机の脚の部分に移動します。この「脚」への移動が一番難しい瞬間です。 早く倒すと返し波でバランスが崩れますから、動作は常にゆっくりとしなければいけません。
「そんなこと出来るわけねえよぉ・・・」Yはいつものように緊張ではばたいています。 「ふーん、好きにすれば?」ニヒルな(<当時の言葉)Kは、いつものように興味の無いふり。
「行くぜ・・・」
30歳に手が届きそうになる頃、KやYと酒を飲んでダベっていたある夜、二人に言われました。 「お前があの薄ら笑いを浮かべてコトを始める時は、マジで怖かったぜ。ああ、いつかこいつはこうやって死ぬんだなって思ったな。でもよ、死ぬ瞬間はちゃんと俺の前でやってくれって思ってたな。だってよ、そんな面白いものを見逃したくなかったしよ」と相変わらずスケベなY。 「大体お前が18を過ぎて生きてるのがおかしい。お前は『不幸』っていう名前の橋の下で、下半身丸出しにして死ぬはずだったんだ。もうすぐ30ってお前、それは生き恥だぞ?」 貴様の言葉は、ありがたくて涙が出るぜ。 ま。机渡りで失敗しても真冬のプールに落ちるだけですけど、長じるにつれて命がけのバカを繰り返していくことになります。その最初の「ワクワク感」がこの机渡りだった気がします。
勿論、見事に25m渡り切りましたよ。 足を少し濡らしただけです。 「俺もやるっ」と、まずはYが挑戦。 最初の縦が乗り切れず、見事に轟沈。 「けっ、お前はほんとにアホだな、こうやってやるんだ。見てろ。机をこっちに押せ」と、Kも挑戦しましたが、元々体力の無い奴ですから、2回転目で轟沈しました。
Yが「F〜〜〜F〜〜〜」と、いつもの哀れな声を出して、冷たい水の中から私の方を見ています。KもFのマネをして、私を誘います・・・。 「卑怯だぞぉぉぉ、お前だけなんで上にいるんだぁぁぁ」 そんな目で俺を見るなよ・・・。 「わかったよ、行きゃいいんだろ・・・」 ジャージのまま頭から冷たい水に飛び込みましたよ。 暫く泳いだり、お机様を投げあったり。いや、投げられるのは私だけでしたけど。 3人で大笑いしながらヤケクソになって叫びました。 「バンザーイ、バンザーイ」
ランニングを終えた部員たちが、三々五々プールサイドに帰ってきました。 吉川くんが冷たい視線をこちらに向けてました・・・。 何を思ったのか・・・Sが机渡りもせずにいきなり飛び込み、バンザイに加わったのは何か訳でもあるのでしょうか・・・。 新しい遊びじゃないって。
アホ以外皆風邪をひきました。 Kの親に説教されました・・・。 Sの姉ちゃんにひっぱたかれました・・・。
まだまだ続きそう・・・。
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