たそがれまで
DiaryINDEXpastwill


2002年10月05日(土) 母のこと 9



母が転院したのは、老人医療施設だった。
病院と決定的に違うのは、積極的な治療は行われないと云うこと。
病状が安定している人だけが、入院できる場所だった。
「老人」と名が付くくらいだから、当然老人ばかりが入所している。
そしておそらくその半数以上が、少なからず痴呆の症状がでている老人である。

もしも容態が急変したりすると、近所の総合病院と連携を取り
医師が往診に来てくれるか、こちらが総合病院に入院するかであった。




病院に到着すると、まずソーシャルワーカーとの面談である。
ソーシャルワーカーとは平たく云うと、患者とその家族の相談相手的存在の人である。

担当のソーシャルワーカー(以下SW)の方は男性だった。
メガネをかけた几帳面な人と云うのが第一印象で、病院の設備、方針などを
事細かに説明して下さった。決して笑顔を見せることなく・・・

前にいた病院では、パジャマ、下着などは家に持ち帰り洗濯をしてくるように
なっていた。使用する大人用の紙おむつも、家族が購入して持参するしくみだった。
だから安売り等を利用して、あちこちの薬局をかけずり回った。
が、今回はとてもシステム化されている。

パジャマ、下着などは専門のクリーニングに出し、
自宅へ持ち帰ることはできないようになっていた。
1ヶ月 2万円也。
紙おむつは、1ヶ月の使用数料を院内の売店で支払う。

確かに家族の行動的負担は軽くなるのだが、なんとなく釈然としない。
とにかく来て下さるだけでいいのですと云われても・・・

最後まで笑顔を見られないまま、SWとの面談が終わり病室へと案内された。
お金を出せば全ておまかせといった印象が拭えないまま・・・だった。



母の病室は3階だった。後で気が付いたのだが、自立して歩行できる人と
痴呆がない人が2階のフロアーと分けられているようだった。
病室はとても広く、普通の病院の6人部屋の広さを4人で使用する。
衣服をしまう棚も木製で、病院らしくないその病室にただただ感心してしまう。

そして・・・
初めて見た。 黄色の白衣を着たナースなんて・・・


今までいろいろな病院を見てきたけれど、何もかもが初めてで、
これが所謂普通の病院とは違うところだと、目を白黒させるばかりだった。

世の中の老人も大変なんだと、ふと感じた。





東風 |MAILHomePage

My追加