たそがれまで
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2002年10月17日(木) 教えると云うこと 1



ある新規オープンのヘルプに出かけて
新人女子社員が先輩に言った。

「担当のバイト、覚えが悪いんです・・・・
 もう毎日クタクタ」

先輩女子社員が鼻で笑う。

「あのねぇ、それは禁句だよ。
 覚えが悪いんじゃなくて、教え方が悪いの!
 自分は無能ですって言ってるのと同じことだよ。」

決して意地悪ではない言い方で、ズバリと核心をつく先輩女子社員。
二の句が継げない後輩は、バツの悪い顔した。

新規オープンの店舗では、普段バラバラに勤務している女子社員が
一同に顔を揃え、短期間でバイトに仕事を教える。
僅か1週間と云う時間で、全ての仕事をたたき込むのだ。
一人が何人かのバイトを受け持ち、基本から応用までの流れをたどる。

何度同じ説明をしても、しどろもどろのバイト達。
もう時間が無いと云うのに、新人社員はあせりだしつい感情的になっていく。

あははっ、新人社員はこの私。
仕事にやりがいを感じ突っ走るだけの頃の話し。
そしてそのやりがいが、空回りしてることに気がついてない。


「人に教えると云うことは、まず自分が勉強しなくちゃ」

夜の宿舎で先輩にアドバイスを受ける。

「何か質問されたらどうしょう、なんて、ドキドキしながらじゃ
 教えられないでしょう?  自分に余裕がないとダメなの!
 余裕がある人は素敵に見えるじゃない?
 あんな人になりたいと思われなくちゃ〜ね。」

う〜ん、確かに自信満々のこのアドバイスに私はすっかり乗せられた。
「こんな社員になりたい。」
目標決定の瞬間だった。

次の日の研修時間から、私はちょっとだけ胸を張った。
今まで自分が勉強してきたことは、間違ったことじゃないんだから
無理矢理「余裕」をかもしだし、・・つまりはハッタリだったのかも。

人に何かを教えると云うのは、いい加減にできることじゃない。
いい加減なことしか教えられなければ、いい加減な仕事しかしてもらえない。


教え子の質は、教師の質
つまり、部下の質は、上司の質。
鏡なんだよね。


東風 |MAILHomePage

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