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2003年02月02日(日) |
母のこと 愛のかたち |
良く晴れた日曜日の今日、片付けをしていたら ふと思い立つ事があって、お人形を飾ることにした。
それは昨春に引っ越した際、本当は処分する筈だったお雛様。 私が父母の元に引き取られた最初の春に、 母があちこちを回って選んでくれた物らしい。
8段飾りのそれは、ことの他大荷物で これからの生活にとって必要だとは思わなかった。 娘には実母から貰った、陶器のお雛様もあることだし・・・。 それでもお内裏様とお雛様だけは持って行け、という姉の助言に従って 引っ越し荷物の中に忍ばせておいたのだ。 「これは親心の象徴だから」という姉の言葉が突き刺さった。
もう15年くらいは陽の光りをあてていないお雛様。 顔にシミがついているだろうと諦めていたのだが 箱から取り出したお雛様は、とてもとても綺麗なお顔で・・
子供の頃の記憶よりも、うんと大きくて、立派なものだった。 そう云えば3才の頃、雛壇飾りの前で写った写真は 私の身長よりはるかに大きくて、そこで笑っている私は まるでお飾りのお菊人形のようだったっけ。
大人になって伯母から聞いた事がある。 お雛様を買いに行くのにつき合わされて、 10軒以上も店を回ったと。 お雛様の優しい顔で、この人形に決めたのだと。
初めてお雛様を飾る母は、喜々として鼻歌交じりだったとか。 「お雛様を飾らせてやったあんたは、それだけで親孝行したんだよ」 伯母は笑いながら、そう話してくれたのだ。
血は繋がっていなかったけれど、私は確かに愛されていた。 父に、母に、そして伯母に。
立派なお雛様だけが、その証拠ではないけれど 一つの証であることに間違いはない。
姉の言った「親心の象徴」だと云う意味が 今日、新たに身に染みた。 私は愛されていたんだよね。
来年も2月2日にお雛様を飾ろう。 大好きだった伯母の命日である日に・・・
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