たそがれまで
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2003年03月27日(木) もう一人の母のこと 4





週が明けたら、実母が来る。
私が作った食事を食べる。
当たり前のことが、実は初めてだったりする。


一つ屋根の下で寝たことも、数えるくらいしかないけれど、
私が長男を出産した時には、1ヶ月ほど実家で母の世話になった。
その時はしみじみ思った。
物心ついて、初めて一つ屋根の下で一緒に生活をしているんだと・・・。

母の作った食事を食べ、母に洗濯をしてもらい、
片手にのるほど小さい孫を、お風呂にも入れてもらったりもした。
具合の悪い養母に変わって、実母が名乗りを上げてくれたのだが、
横から姑まで出てきたりして、それはそれで大変だった。

普段は決して表にはでない実母だった。
結婚式の時も、葬式の時も、いつもは裏役に徹してくれていた。
でもこの時ばかりは、実母が強く主張してくれたのだ。

初めてのお産と子育ては、精神的にも苦痛を伴う。
だから、だから、お姑さんのところには行かせたくない。
私が世話をするから。仕事を休んでもいいから。

そんな実母の言葉に、養母は「そうさせてもらいなさい。」とだけ言った。
その言葉が気にはなりつつも、産後、私は実母の家に向かった。

いつも顔を合わせている実母だが、
一緒に暮らすということに慣れていない二人。
なんとなくぎこちなく、お互いになんとなく気を使う。


母と娘の当たり前が、私達母娘には当たり前でない。
そんな微妙な母娘関係だが、それが私達にとっての当たり前だっだ。


私にとってあの1ヶ月間は、愛おしい時間だった。
とても懐かしく思い出される。
養母に後ろめたさも感じつつ、
でも過ごすことができて良かったとそう思える時間だった。

おそらく、もうそんな時間も無いだろう。
今では実母は、次姉家族と同居している。

だからこそ、来週過ごす3日間が
今からとても楽しみで、実は少し緊張している。
料理上手な母の、好みの味を作れるのかと・・・。




東風 |MAILHomePage

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