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先日、娘が宿題のわからない箇所を訊きに来た。
「ねえ、『おやをきる人』ってどんなひと?」
親を切る? 私は訳が分からずに、娘のプリントをのぞき込む。
そこには「親切な人」と書かれてあり、よみがなを書く宿題だった。 答えが分からなかったことにガッカリしたというよりも、 親を切ると書いて「しんせつ」と読む。 そんな当たり前の事に気がついてビックリした。 (この話しは書きようによっては「歳時記」のネタなんだけど・・)
親を切って『しんせつ』 なんか不思議だけど、そんな事も有りだと思った。
親ってとても有り難い存在なんだが、時として本人の為にならない事もする。 親側の立場としては、本人の為だと信じている場合が多い。
ふと思い当たる親子が居る。
ある男が居た。 両親は健在で、父は公務員として一生懸命に働いていた。 母も実家の店で仕事をし、男は祖父母にとって初孫の男の子だった。
忙しい両親に変わって、男を溺愛する祖父母。 欲しい物は買い与え、食べたい物をたらふく食べさせた。 いつの間にか男は「我慢」ということを学ばぬうちに大人になってしまった。
大人になった男は、お酒を飲むのが好き。 ギャンブルをするのが好き。 お金が無くなれば簡単に借金をするようになった。
借金が膨れあがり、自分で払えないようになると何処かへ姿を消し 両親が尻拭いをし終わった頃にふらりと戻る。 何度かそんな事を繰り返した後、一人の女と出会った。
その女は男にとって、同級生で気心が知れていた。 丁度、出逢った頃は行方不明中で、両親には勘当も同然だった。
自分の行いを悔い反省する姿を見て、女は男を可哀想に思った。 少しの時間が流れた頃、男は女を連れて実家へ戻った。
結婚という責任を負えば、立ち直ってくれるだろうと感じた両親は 二人に結婚を急かし、手作りでささやかな披露宴だけの結婚式をあげさせた。
その男は元の夫 その女は私
両親は息子を想い、尻拭いを続け それが当たり前だと勘違いしてしまった息子。
親の心は届かなかった。 結婚という責任を負ったとしても・・・。
心を鬼にしてでも、親は助けちゃいけなかった。
親を切って『親切』 なんだか心に刺さった言葉。
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