もうゴールデンウィークも終わったというのに、なんだろうかこの寒さは。未だにユニクロのフリースを愛用している。
薦められて、リリー・フランキー著「誰も知らない名言集」を読んだ。
際の際まで追い詰められた人たちから吐き出された珍妙セリフをひたすらに紹介していく、世の中にはかくも色んな人が居るものだと改めて思い知らされる一冊。読後の爽快感など皆無。いや、紹介される人およびエピソードのほとんどが変態もしくは下ネタのいずれかでカテゴライズできるため、違った意味での達成感はある。かもしれない。
どれもまともに読んだらツラそうな内容ばかりであるが、全ページが一見意味があるようで実はまったく無意味な、ともすれば「だから何なの?」の一言で片付けられてしまいそうな文章で綴られており、その一点が私のツボにヒット。うちのHPとコンセプトが同じじゃないかと勝手に共感して読み終えてしまった。
「意味がありそうで実は何もならない」なんて素敵じゃないか。あくせくして余裕の無い毎日、せめてくすりと微笑むことの出来る一瞬が欲しい。そう、リリー・フランキーもこのHPも目指しているところは同じ、つまり忙しすぎる日本人に束の間の清涼感と微笑みを与えることなのだ。一生懸命読んでくれたけど実はまったく意味が無いんだよ、と言われれば、あまりの馬鹿馬鹿しさに清々しさすら憶えるだろう。同時にいかに意味のあるものに囚われ続けていたかという事実に気付くことができるのだ。そう、今という時代は有意味という言葉の下に縛られた現代版マトリックスなのだ!こんなもんでいいだろうか。
下ネタだの変態だの無意味だの散々なことを述べてしまったが、実は読んでためになったこともある。世の中上にも下にも色んな人が居るのだが、案外自分は普通の人間なんだなあと安心できると同時に、細かいことにくよくよ悩んでいた昨日までの自分を笑い飛ばせることである。明日も元気に頑張ろう。
本当は、日常発せられては消え行く名言とそれにまつわるエピソードから、人間の奥深い部分の行動原理を解き明かしていく、という命題があるのかもしれないが、なんだかあまり深く考えすぎても思うツボのような気がするので止めておく。見方を変えれば色んな見方が出来てしまうのは何でもそう。
東京電力のSWITCHキャンペーンのCMは、なんだか妙にエロいような気がする。
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