ミドルエイジのビジネスマン
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2003年06月15日(日) 一万年の旅路

ポーラ・アンダーウッドという女性の書いた「一万年の旅路」を読み返している。彼女自身が伝承の担い手として受けた教育の様子も描写してあり、興味深い。

今から1万年ほど前にベーリング海峡を渡って北アメリカに移動したアメリカインディアン(今ではネイティブアメリカンと呼ばなければいけないらしい)の一族の長い物語である。地震、津波、山崩れ(石が降ってくると書いてあるので噴火によるものもあるだろう)を契機に旅に出た民族が経験する手に汗を握るような冒険や、アメリカの大地の雄大さが描かれている。

初めて馬に乗った人間を見た驚き、その騎馬民族に追い立てられて続ける旅、水没直前のベーリング海峡を子連れで渡る苦難と知恵、背丈を越える草原をバッファローの大群が突進する壮大な光景などが語られている。

口承史ということで、古代文書が残されているわけではないので、どこまでが真実か分らないという読者もいるようだ。既に定説となっている歴史や科学を元に再構成することも不可能ではないと言う論理だ。

疑いながら読んでも仕方ないだろう。一万年前に日本から目と鼻の先の中国、シベリアを歩いて抜けていった人々の姿を想像しながら再び、ゆっくりと楽しもうと思う。



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