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仕事の最初の日、現場への乗りこみってのは緊張するもんであります。 御施主さんがうるさい人じゃなければいいなー(失礼)とか、 あんまり土台が腐ってないといいなーとか。 でね。今回の現場なんでありますが。 朝、八時半すぎに現場に到着すると、なにやら妙な雰囲気が漂っているんでありますよ。 普通なら車の音がすれば、お客さんのほうから顔を出したりするもんなんです。 そりゃ、お客さんのほうも少なからず緊張していますからねえ。 しかしこの現場の場合。 入り口から見える和室に、家族が勢ぞろいして、正座をして俯いているんであります。 よーく覗くと、奥の仏壇の前には豪華な袈裟を着た坊さんが。 ……これはヤバイ。マジでそう思わせる雰囲気でありました。 なんていうか、縁起でもない話ではあるんですが、結構あるんですよ。 工事が終わった途端、不幸が起こったとか。 契約して着工までの間に、不幸が起きちゃうとか。 もうね、今回これに間違い無いだろうって思ったんですよ。 だって、普通に生活してて坊さんが家に来るなんて、不幸があった時か、○回忌なんて時しかないじゃないですか。 インターホンを鳴らして元気に挨拶できるような雰囲気でもありませんし、仕方なく庭先に車を止め、お客さんが気付いてくれるのを待つことに。 漏れてくる木魚のポクポク言う音の、空しさったら! で。10分くらい経ったでしょうか。 ふと顔を上げた奥さんが、私たちに気付いて出てきました。 何を言われるかとドキドキであります。 「ごめんなさい、今、工事を始める御祓いしてもらってるんで」 ……って! なんだ、脅かすなよ〜〜〜! どっと全身の力がぬけましたとも。 うーん。坊さんもそんな事するんですねえ。神道の専売特許だと思ってましたが。 で。更に奥様がいう事に。 「この後、塩とお酒でお清めしますんで、その後にお願いします」 ──いや、さすがにそれは仏教じゃないんじゃ?
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