ディリー?闇鍋アラカルト
DiaryINDEX|past|will
アイヒマンはナチスドイツ政権下でユダヤ人600万人虐殺の責任を負うべき立場にあり、裁判の時に「私は命令を忠実に実行しただけです。」と言ったと伝えられている。 さて、では、上司の命令なら人類にとって害になる事でも実行するのか?という話になると、事はアイヒマンに限らない。 人類の未来に暗い影を投げかける排気ガス・環境汚染・原生破壊・・・に関して多数の企業が関与しているし、多くの人はその企業の関係者であり、大抵の人がその企業の恩恵を蒙っているからだ。 勿論僕自身も例外ではない。 原子力発電による電気を消費しているし、アルバイト先では合成洗剤を使う事もある。だから、出来るだけ害になる方向へは進めないように心掛ける程度でしかない。しかし、これが大切なのだと思う。 僕自身、この歳まで正社員を体験していない。社員になれば否応なしにその会社の方針に従わざるを得ない。だから、社員にはならなかった。しかし、社員になってしまった人は出来るだけ、その会社の方針が人類に有害に働かないように努力して貰いたいと思う。 そして思うのは、2002年9月4日付けで書いた「仕事場で」に登場した大手洗剤メーカーK社の社員である。 http://www.enpitu.ne.jp/usr9/bin/month?id=99310&pg=200209 彼は、石鹸を手作りする僕に「それじゃ、私たち、敵でしょう。」と寂しそうに言った。 彼は合成洗剤が有害であるのを知っている。自分たちの会社の製品が優良な物だという自負があるなら、「手作り石鹸もいいと思いますけど、うちの○○も体験してみて下さいね。きっと気に入ると思いますよ。」とでも言うはずだからだ。 有害な物を作り続け、有用な石鹸を減産させ、そうした状況維持の為に医者や役人を接待する・・・そうして巨大になった会社の方針の為に、有害が分かっていてその為に働かざるを得ない自分の状況に胸を張る事が出来ない。 「そんなあ、敵だなんて思ってないですよ。」と言った僕の言葉は本当だ。 うつむく彼に、僕はうつむかないで生きられる為の言葉を伝えたかったのだ。
|