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出版差止裁判の終決

2004年04月06日(火)


 4月2日に書いた「週刊文春」の出版差し止め問題で、その後情勢が変わったので、少し触れておく。

 先ず、文春側は、未出荷分を販売しない事を決定した。
 これは、高裁の判決を受けて、当初読者や書店の要望があれば通常の流通ルートを通して販売する
 予定であったが、これを取りやめた。
 何故なら、取次店や書店の要望がなかったためだ。
 「表現の自由」は認められたとはいえ、「プライバシーの侵害」は高裁によっても
 認定されたのだから、それを敢えて販売するという事を、書店は「良し」とはしなかった。
 当然といえば当然の選択である。

 又、田中真紀子衆院議員の長女側も、高裁の判決後、当初は最高裁へ特別抗告する事を
 表明していたが、これを取りやめた。
 元々、最高裁の役割は、憲法違反や判例解釈の誤りを正す事にある。
 この場合、「表現の自由」は憲法違反ではないし、「事前差し止めが必要などほどのプライバシー
 侵害」という判例も無いので、恐らく、「被害が重大かどうか」という事については高裁の判断に
 立ち入る事無く抗告を棄却する可能性が高かった。
 それに、田中側弁護士が言っているように、仮処分とは「仮」という名前の通り時間のかかる
 本訴では間に合わない時の急務的な訴えである。
 今回週刊文春がこれ以上未出荷在庫を販売しないという事で、継続の意味がなくなり、
 本訴(例えば、謝罪・損害賠償等)を請求すればいい事になる。

 結局、「表現の自由」と「プライバシーの侵害」の問題は、これからも、個々のケースにおいて
 どちらを優先させるか、その都度判断する事になった。
 今回をみても、非常に微妙な問題であり、地裁と高裁の判断が分かれたように、担当裁判官の
 プライバシーの捕らえ方によって、重要な判決が左右されてしまう。

 益々大変だね。裁判官も。
 普段から、狭い社会に閉じ篭ってしまうのではなく、色々世間をみて、広い視野を持っていて欲しい。
 
 
  
 
 
 

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