2004年05月02日(日)
オウム真理教の麻原の三女は2月6日に文教大学人間科学部臨床心理学科の入学試験に合格 した。 しかし、今年3月に三女が和光大学から合格を取り消されたとの報道をきっかけに、文教大でも 合格者名簿をチェックしたところ、人間科学部臨床心理学科の合格者に三女が含まれていることが 判明。 同学部の教授会は同月24日、「学生や地域住民への配慮」を理由に、入学許可を取り消し、 三女に文書で通知した。(本人からの事情は聞いていない) 同月31日、東京地裁に地位保全の仮処分を申し立て、同地裁が4月28日、「入学取り消しを認め る特別の事情や正当な理由があるとは考えられない」として、申し立てを認めた。 三女は、大学に入学の意思を伝えているといい、大学側は対応を協議している。
確かに、三女はアーチャリーと呼ばれ、麻原の後継者と目され、教団の中では特別な地位にあり、 我侭放題に育てられた時期もあった。 そして、今、社会の責任ばかりを言い募る”支援者”に守られ、自宅に籠もっているのならば、 松本家の子どもたちと教団には、強い関わりが疑われても仕方がない。 また、麻原の妻でもあった母親は、裁判で「遺産はすべて被害者に渡した」として、刑期を 短縮してもらっている。 ならば、私立大に行かせるほどの金銭は、何処から出ているのか? 財政面から教団との関わりについて疑問が湧くのは、当然だろう。 だから、大学側の不安もわからない事はない。 しかし、麻原の娘として生まれた不幸は、彼女の責任ではない。 なのに、大学に進学する事によって、幅広い価値観や知識を学ぼうとしても拒絶され、教団外の 人々と交わる機会を奪われるという事が、許されるのであろうか?
今回の地裁の三女の学生としての地位を認める仮処分決定に対して、文教大学長は 「本人の履歴から本学の建学の精神に相応しくないと判断した」と、述べている。 「学生や地域住民への配慮」とか「本人の履歴から本学の建学の精神に相応しくない」という 裏には、面倒な事には巻き込まれたくない、煩わされたくないといった気持ちがあった のではないだろうか。
しかし、文教大学の教育理念は「人間愛」である。 文教大学のHPには、 「学生と教職員との人間的なふれあいを大事にしながら、豊かな人間形成をめざしています。 そして学生ひとりひとりが自己実現の道を求めながら、同時に他者の身になって、すべての人を 尊重し、世界に向かって開かれていくことを基本としています。」 という、立派な学長のメッセージが掲載されている。 そして、教育方針として 「どのような領域に進むにせよ、学習や生活の根底には、人間を人間として大切にする気持、 すべての人に対する温かい思いやりが大切です。(中略) 他者の立場に立って、どのような人も「かけがえのない人間」として尊重することをモットーと します。」と掲げているのである。 麻原の三女もこの「かけがえのない人間」の一人ではないだろうか。 「学生や地域住民」ばかりが他者ではない筈である。 彼女の麻原の娘として生まれた不幸を「他者の身になって」考える事ができないのであろうか。 大学の教育方針通り、彼女が大学生活を通して「豊かな人間形成」される事を願う。
それにしても、他の大学も和光大学から合格を取り消されたとの報道をきっかけに合格者名簿を チェックしたのだろうか。。。。
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