はまっています。 高村薫作品。
以前から読んではいたんですが、もっと熱心に読む対象が他にありました。 ここのところずっと高村さんの長編小説をもう一度最初から読み直す作業を続けていて、そうしているうちにどっぷりとはまりました。 そもそも24日に「太陽を曳く馬」が発売されるので、三部作のうねりのまま突入しようという心積もりだったのですが、長編小説ばかり連続で読み続けると、もう駄目です。逃れられなくなりました。
今、「晴子情歌」の上巻から下巻に入ったところだけれども、圧倒されています。
またこれだけ長編小説ばかり読んでいると、「小説漬け」になっていく感覚がしています。 が、もっとずぶずふに漬かりたいので、どんどん読んでいくのです。
ところで高村さんは、以前あるインタヴューで21世紀に文学は滅びると語っておられました。つまり映像などと結びついた形では残るだろうけれど、言葉のみで編まれた形態はなくなるだろう、と。 まるで水村美苗さんの主張とリンクしています。 原因は世の中で使用されている言葉の数が極端に減ってきているから、とのこと。
「滅びるのが惜しいから私は書く」ともおっしゃっていて、ということはまだ小説は続くな、と。
ではネットで書き続けている自分はどうなのかというと、だからこそ書き続けるわけです。 文体と物語を追っていきます。
それにしても「晴子情歌」も凄い。 もうなんというか時間も舞台もスケールも緻密さも桁違いに凄い。 タフで硬質な文体や内容だけでなく、みずみずしい描写が至る所に散りばめられているのですよ。
ある程度の年齢の方ならご存じの、北原ミレイ「石狩挽歌」という唄が身に沁みてきます。 これは、なかにし礼さんの作詞ですが。
次は「新リア王」。これはもっとタフです…。 しばらく無口になりますね。間違いなく。
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