スナックおのれ
毛。



 チャリン公からあなたへ。

少し前に、チャリンコウがなくなりました。最寄駅の前に置いて、会社に行ったら、帰宅時、ない。そんな事件簿です。盗まれたか?とも思いましたが、いかんせん、置いておいたところが“駐輪禁止域”。拉致監禁されているか、それとも拿捕か。持っていった人の意図だけで、こうも自分の置かれる地位が変わるとは。かたや、被害者。かたや、加害者ですからね。で、とりあえず、電話したんです。北大井ナントか所、っつう所に。そしたらですね。ありましたですね。拉致監禁されていましたですね。僕のトルシエ号。(誰が名付けたとも知れぬ、私のチャリンコウの名前。トルシエと同じ機種だったと言うだけですけれど)

行きしな、バイクでブィーンと運んでもらって。途中で、道路の真中を悠々と自転車で走りやがる小学校3年程度、3流大学程度、教室で不安定な地位を保ち続けているであろう、馬鹿餓鬼に注意をしようかしまいか、迷いながら、つきましたよ。大井ナントか所。これが良い場所にあってですね。品川の埋立地中の埋立地みたいな。まわりなーんにもなくて、遠くに赤と白の煙突ともおぼつかぬものが、そびえち、道ばっかりが馬鹿広いところでした。

その高架の下、明るい都市から隠された場所に北大井なんとか所はありました。件の小学生などで、腹をたてていた私は、むっつり構えてやろうかと思っていたんです、係りのおっさんに。電話口でも、偏屈な対応しかされていなかったし。ところが、迎えてくれたのは、定年退職してやってきました、大井の外れっちゅう感じの人の良さそうなおじさんです。自転車を丁寧に探してくれて、しかも、私のトルシエ号を誉めてくれる、「良い自転車だねぇ」、その上、磨いてくれる。言わば、ここで私は犯罪者ですからね。犯罪者にやさしくしてくれるんですよ。そりゃね、容疑者もカツ丼出されりゃ、自白しますよ。犯罪者ですもん。犯罪者の後ろめた−い心にチクリチクリと、やさしさ注射を刺すわけですよ。

そんなわけで、3000円も払ったのにもかかわらず、私、終始、良い人。ローマの時代に生きてたら、間違いなく、殺されていそうな理髪師。殺されなくても、騙されます。なんで、理髪師かって言うと、さして意味はないです、イメージです。感じてください。察してください。私の心。

で、なんとなく自分に哀しみを覚えながら、帰り道。
気持ち良いですねぇ。作られた都市も良いですねぇ。休日の昼下がりが良く似合います。でも、私って、なにか忘れてない?忘れん坊になってない?いろいろ理不尽、あったはず。嗚呼。

とりあえず、この夜更けの気分が良いことに感謝したいから。ソレ、重視で行こう!ギャ−!!

2002年05月25日(土)
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