あたたかなおうち
華

■■■
■■
■ 光

滞りながらも、問題なく流れてゆく日々を
心のどこかで時として恨んでしまう。


こんなにも平和慣れしてしまった私には
社会で生きていくための免疫が育っていない。


必要以上に傷つき、恐れ、孤独を感じ
呆然と立ちすくむ時
自分に絶望しながら周りを見渡すと
多くの人の温かな手に触れ
私は自分が築いてきたものの大きさに目を見張る。



2005年02月25日(金)

■■■
■■
■ 言葉あそび

最近よく、ふたりで言葉あそびをする。
韓流ブームにのって『韓国語ごっこ』と名づけた。


ルールはとても簡単で、
寒さを感じたときに「さむにだ」と言うだけ。


さむにださむにだ
とてもさむにだ
さむさむにだ


メイに話してから、メイもたびたび口ずさむ。


少しだけ忙しいけれど、なんのことはない。
のんびりと流れる平和な日々。

2005年02月24日(木)

■■■
■■
■ ひだまり

『ひだまりの民』という人形がある。
太陽電池で首を左右に揺らす、愛らしいおもちゃだ。


祐ちゃんがおみやげ、と言って手渡してくれた。
ゲームセンターで取ってきた
私は嬉しくて、さっそく箱から出して動かしてみる。


真似て左右に頭を動かしていると
祐ちゃんがこっちを見て笑い声を上げる。
華にそっくりだから取ったんだよ
祐ちゃんはにこにこと私の頭をなでる。



2005年02月23日(水)

■■■
■■
■ エプロン

かわいいエプロンを見つけた。
ポケットがウサギの顔になっている。
私は迷わず店員さんに
プレゼント用に包装してください、と告げる。


メイは、この冬から
保育園でアルバイトをしている。


約束まで少し時間があったので
ポストカードにメッセージを書き込む。
もう何度こうして手紙を書いただろう。
メイの部屋にずらりと飾られている
私のポストカードを思い浮かべる。


もうすぐ、ふたりとも4年生。


2005年02月18日(金)

■■■
■■
■ 朝ごはん

トーストを焼いて、ハムエッグを作って
コーヒーを入れてから祐ちゃんを起こしにいく。


私のベッドで無防備に眠る
祐ちゃんの寝顔はとてもあどけなくて
私は思わず躊躇してしまう。


ほんの少しの時間眺めてから
私はもちろん容赦なく起こす。


目を覚ますと、祐ちゃんは先生の顔になる。



2005年02月17日(木)

■■■
■■
■ 実習

今週から臨床実習が始まった。
1ヶ月間、病院でいろいろな科をまわる。


看護師さんやお医者さんに混じって、
慣れない白衣に身を包む。
朝早くから夜遅くまで、
毎日のレポートと、予習復習の繰り返しだ。


大学ボケのなまった身体にはかなり堪えて、
私は早くも弱音を吐きたくなる。


祐ちゃんは毎日こんな生活をしながら
私の相手までしてたのだと思うと
本当に感謝の気持ちでいっぱいになる。

2005年02月16日(水)

■■■
■■
■ いたずら

祐ちゃんの家に行くと
ソファに倒れこんだ格好で祐ちゃんが寝ていた。


昨日徹夜だったことを思い出す。
本当に疲れているのだろう。


半分眠ったままの祐ちゃんの服を脱がせて
トレーナーとジャージに着替えさせる。
枕を与えて、毛布をかけて、暖房の温度を調節する。


一通り終えると、ふといたずらしたくなって
私は祐ちゃんの耳元でささやく。

好き?
祐ちゃんが小さく頷く。
好き?
また小さく頷く。
嫌い?
祐ちゃんは頷きかけて、一生懸命首を横に振る。


ごめんごめん、と私は笑って祐ちゃんの頭を抱きしめる。
祐ちゃんはすぐに寝息を立て始める。

2005年02月08日(火)

■■■
■■
■ きっかけ

祐ちゃんとのきっかけを聞かれることがある。


出会った頃、きれいな彼女がいた祐ちゃんとの。


『これからいろんな恋をして
 でも、いつかこの人とお付き合いできたらいいな』
そう思ったことを覚えている。
ただ純粋に、正直に。


そういえば
本当にその通りになった。



その話をすると、祐ちゃんは
運命なんでしょ?
とすましたふりをして嬉しそうに笑う。

2005年02月07日(月)

■■■
■■
■ 便箋

祐ちゃんが、手紙を書いてくれた。

きちんと糊付けされた、きれいな封筒を受け取る。
それだけで、私は子供のように喜ぶ。


祐ちゃんの手紙が大好きだ。


薄桃色の、線のない便箋に
祐ちゃんはきれいな字で文章を綴る。
ひとつひとつの言葉が丁寧に胸に響いて
祐ちゃんの思いやりに私はいちいち気づいてしまう。


『それから、

私はゆっくりとかみしめるように文章を目で追う。
『それから、
今年は華は実習に教採、卒論と
大変なことがたくさんあるけど
頑張りすぎないように頑張ってね。

ま、とにかく祐介めが常にお側におりますので』



2005年02月05日(土)

■■■
■■
■ 食事

何も言われずに連れて行かれた食事先は
小さな洒落たフランス料理店だった。

祐ちゃんが店員に名前を告げると
用意されていた席に案内される。


お嬢様、どうぞ
祐ちゃんが笑顔で、奥の席に私を座らせる。
ありがとう
気取って返事をして、私も思わず笑ってしまう。


すごく嬉しい
と私が言うと、
それはよかった
と紳士な祐ちゃんが言う。


祐ちゃん、本当にありがとう。


2005年02月04日(金)

■■■
■■
■ 贈り物

迷った挙句、ネクタイをプレゼントすることにした。

どんなものが好みだろうか。何色が似合うだろうか。
学校には派手過ぎないだろうか。地味すぎないだろうか…

相手のことを想って選ぶことが楽しいから
私は贈り物をするのがとても好きだ。


どうしても待ちきれなくて、
日付が変わった途端に渡してしまう。
ね、開けて開けて
急かす私に祐ちゃんが微笑む。


2005年02月02日(水)

■■■
■■
■ 弱音

うつぶせの祐ちゃんをマッサージしていたら
あっという間に眠りに落ちてしまった。

祐ちゃん、危ないからメガネ外そうね
私は手を伸ばして、メガネを慎重に外す。


不意に祐ちゃんが泣きそうな声で呟く。

…疲れちゃった


え?
私は驚いて、祐ちゃんの顔を覗き込む。
寝言のようだった。


決して弱音を吐かない祐ちゃん。
本当は、当然、辛いこともたくさんあるだろうに。


私は、コタツで寝ている祐ちゃんの隣にもぐりこんで
頭をよしよし、と抱きしめる。
祐ちゃんのまぶたが、かすかに反応する。


2005年02月01日(火)
≪ ≫ 初日 最新 目次 MAIL


My追加