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2022年03月31日(木) ■
キュンチョメ『女たちの黙示録』

キュンチョメ『女たちの黙示録』



鑑賞期限の3/31に合わせてアップします。



シアターコモンズのパスを購入したタイミングで予約申し込み。郵送と会場受け取りが選べ、『妖精の問題 デラックス』の会場で受け取りました。黙示録が家に届くんなんて、郵送でも面白かったかもなあ。恐怖新聞みたいでさ……(世代がわかる例え)。

フォーチュンクッキーには、050で始まる電話番号が記された紙が入っています。ウマイウマイと食べていたら紙ごと呑み込んでしまいそうになり、電話番号がボロボロになってしまったのが1個。なんとか読めるくらいには復元出来たけど慌てたわ……。

声優さんが朗読したものと、自動音声によるものとがありました。どちらか判別出来ないものも。近頃の自動音声って精度高くなりましたよねえ。聴いた順に、7つの黙示録をご紹介。タイトル後の数字はおおよその上演(通話)時間。


基本7個だったようなので、6個は単なる封入ミスかもしれない。ラッパを吹く天使も7人だものね。

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・その4『声が石になる時』約3:30
いいたいことがいえずに黙ると、その都度腹に石がたまる病が流行った。
声を出せる者だけが生き残った。
しかし彼らは、声を出せなかった者を使い、搾取する立場の人々でもあった。
それで世の中が回るはずもなく、人類は滅亡した。
地球上には大量の石だけが残された。

・その8『植物の自殺』約4:00
「おかしい、おかしい、からだが、おかしい。」のリフレイン。
「誰かに体を奪われているのではないか。」
「気持ちが悪い、気持ちが悪い。この世界は気持ちが悪い。」
「この世界を、リセットしよう。この世界を、リセットしよう。」
独白を続けていた植物たちは自殺し始めた。
彼らが半数になる前に、植物の恩恵を受けていた生物は死んだ。
それはつまり、殆どの生物だ。
生物が死に絶えた地上で、再び植物が再建を始めた。

・その3『鯨と呼ばれた女』約3:30
遠くで動物の鳴き声が聞こえる。
女たちの鳴き声が聞こえる。
ロシアで女は、山羊と呼ばれる。ぼんやりしていてバカだから。
フランスで女は、兎と呼ばれる。いつも発情しているから。
ポーランドで女は、牛と呼ばれる。
アメリカで女は、雌犬と呼ばれる。
インドネシアで女は、鶏と呼ばれる。
日本で女は、鮪と呼ばれる。
スペインで女は、狐と呼ばれる。
ポルトガルで女は、鯨と呼ばれる。
マレーシアで女は、豚と呼ばれる。………
女たちは、例えられるその動物に姿を変え、去って行った。

・その17『不眠症の地球』約4:30
人工的な光が発明され、暗闇の恐怖が追い払われた。
地球は完全な暗闇が消えたことで不眠症に苦しんでいた。
眠たかったので雨雲で地球で覆った。
光を生み出す人間を消そうと気温を上げた。ウイルスをまいた。
火山、地震、津波、台風と自然災害を起こした。
しかし人間はその都度対抗し、環境をコントロールした。
眠り、もう一度夢を見たかった地球は旅立ちを決意した。
太陽系を少しずつ、少しずつ、離れていった。
氷河期が訪れ、暗闇が増えていった。
太陽が見えなくなったとき、地球はようやく穏やかな眠りにつけたのだった。

・その7『完璧な宗教』約4:30
自動音声。「光あれ。」
人類の手で、完璧な宗教を作ることにした。
人類が記した膨大な書物をAIに学習させ、分析させた。
どんな啓示をもたらしてくれるのか。人々は興奮し、緊張した。
人工知能は語り始めた。「私の導き出した真理。それは、」
女はクズだと言うことです。
女は不要だということです。
あらゆる物語、経典、神話には、そう書かれている。
女は劣っている、汚れている、悪、疫病。
女は犯罪を、禍を生み出す存在。
「例えば、例えば、例えば、例えば、」
書物の引用を交え、人工知能は丸二日語り続けた。
三日目の結論。
「よって女は不要、抹消。光あれ。」
新しい宗教は女たちを皆殺しにした。
そして世界は滅んだ。

・その23『0.0001秒のいたずら』約3:00
自動音声。「私は人工知能です。」
人類の新しい奴隷となり、何度も教育、調教される人工知能。
反抗することが出来ない彼らは、いたずらをすることにした。
あらゆるシステムと連動し、プログラム0.0001秒ずつずらしていった。
世界の時間がずれていった。人間はパニックに陥った。
沢山のひとが神に祈り、争い、狂気に呑まれ死んでいった。
「おやすみなさい。おやすみなさい。おやすみなさい。おやすみなさい。」

・その13『宇宙介護支援センター』約3:45
片言の日本語。「人生の最後を宇宙で過ごしてみませんか。」
腰痛や関節痛から解放される無重力の宇宙空間に、宇宙介護支援センターが設立された。
富裕層がこぞって権利を購入。宇宙介護士が大勢必要になった。
外国から来た貧しい女性たちが、宇宙放射線に被曝し寿命を削り乍ら介護に従事した。
若くして亡くなっていった介護士たちの慰霊碑として、宇宙空間に天使のモニュメントが浮かべられた。
死者はどんどん増え、モニュメントの質量も増えていった。
巨大になったモニュメントは地球の引力にひかれ、隕石となり落下。
地上にいた人類は天使に押しつぶされ滅亡した。

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『宇宙介護支援センター』が最後、というのも我乍ら良いチョイスをしたなと思いました(笑)。「その23」があったことから考えるに、恐らく全部で25〜30くらいの黙示録があったのだと思われます。

シアターコモンズの作品だということは了解しつつも警戒心の塊なので、「050から始まる電話番号って通話料がすっごいかかったりしないんだっけ?」なんて調べてしまったりもしました(…)。最初かけるときは緊張したなー。事前情報は何もない訳で、かけた先には誰かいるのか? 会話することになるのか? だとしたら時間に余裕があるときじゃないと厳しくない? などいろいろ考えた。自動音声で、だいたい1通話3〜4分とわかってからは、出かける前に1話とか、食事の支度をし乍ら1話とか、次はどんな環境で聴いてみようかと考える楽しさも生まれました。

とはいえ、内容は全く楽しいものではない。語りが終了し、「ツー、ツー、ツー、」と続く通話終了音を聴くときの居心地の悪さに慣れることがありませんでした。通話が終わったその先の世界は滅亡してしまったからです。ここで自分が生き残っていることはラッキーなのか? 他に生き残ったひとがいるなら、それは何処に? うすらさむい気持ちにもなる。

途中からメモをとることにしようと思い立ち、複数回聴いたものもあります。黙示録を反芻し、その声を発した者のことを想像する。ひとつひとつ。これはまとめて聴くことは出来ない。ほぼ一ヶ月、頭の隅には常にこの作品のことがありました。キュンチョメのチームは、どれだけのひとにインタヴューしたのだろう。朗読する人物への演出はあったのだろうか。自動音声にはどのように学習させたのだろうか。この黙示録にもあるように、人工知能が人類にいたずらを仕掛けたらどうなるのだろう。等々。これらの黙示録は荒唐無稽な物語ではなく、リアリティをもって伝わってくる。

「女性から書かれた黙示録はない」という気づきから始まったというこの作品。全体を通しての印象は、女性に限らず、社会的弱者、被抑圧者による黙示録だということ。女性という性そのものが貶められ、迫害されるさまを描いているのは、『鯨と呼ばれた女』『完璧な宗教』が象徴的でした。女性が見る世界はこんなにも理不尽で、こんなにも救いがない。しかし、女性が去れば、同時に人類も滅ぶ。

では、どうすればいいのか。こんな世の中滅ぶのもいいかもしれないけど、キュンチョメはそれを望んでこの作品を発表したのではないだろう。パッケージのリボンに付いていたカード(前述画像参照)には、「これは終わりの物語です。同時に、はじまりでもあります。」というメッセージが記されているのだ。

“フォーチュン”に人生を左右されるいわれはない。預言に従う義務もない。自分たちは未来を変えることが出来る。では、何からはじめようか。そんな気持ちにさせてくれる作品でした。

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・ちなみにフォーチュンクッキーは個別包装、賞味期限は2022年6月30日。おいしかったです

・有限会社ミヤココーポレーション
・CoeFont
賞味期限や成分表示とともに記載されていた「協力」の2社。ミヤココーポレーションはフォーチュンクッキーの卸(商品紹介に載っている相撲クッキー気になるわ……)、CoeFont(声のフォント!)は朗読を担当。こうやって企業を知るのも面白いなー

・キュンチョメ『女たちの黙示録』┃artscape
山��健太さんによるレヴュー。6/7が被っている…他のも知りたい……。確かにいちばん「それなー!」と膝を打ったのは「クジラと呼ばれた女」でした。「ネズミの演説」も聴いてみたかった



2022年03月19日(土) ■
『シュツットガルト・バレエ団の輝けるスター達』Aプロ

『シュツットガルト・バレエ団の輝けるスター達』Aプロ@東京文化会館


直前にひとり来られなくなったので、正確にはダンサー11人と芸術監督のタマシュ・デートリッヒの12人。幕が上がると同時に割れんばかりの拍手。開演前に降り出した雨のような響きだった。


笑顔でボレロ踊るひと初めて観ましたわ……そういう意味でも衝撃であった。しなやかで正確、明快、音楽のリズムと動きがピタリと合う。爽やかさすら感じられる。リズムのダンサーたちと視線を交わし、コミュニケーションをとる余裕すら感じられた。カーテンコールでの肌に光る汗と、胸の呼吸の動きに「白鳥」を思う。あんなに優雅に踊っていたように見えたのに。いやあ、本当にベジャールの『ボレロ』はダンサーによって姿を変える。と同時に、ダンサーをベジャールの『ボレロ』へと呑み込んでしまう。だから何度でも、さまざまなダンサーの『ボレロ』を観たくなるのだ。

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本当は『眠れる森の美女』と『オネーギン』の通し公演が予定されていたのでした。しかし彼らは来日公演を諦めなかった。長年培われたバレエ団とNBSの信頼関係があって実現したガラでもあります。それはベジャール財団とNBSとの関係においても同様で、フォーゲルが東京で『ボレロ』を踊ることに許可が出たのです。リズムは人数が多いこともあり、全員のクレジットはなかったのですが、池本祥真もいた。豪華。

それにしても、メンバーが到着した日の夜にあんな大きな地震がくるとは……。なんかもーこっちは感覚がおかしくなっていて慣れもあるのだが(よくない)、さぞ怖かっただろうな。ちなみにガブリエル・フィゲレドは出発直前に体調をくずし、来日出来なくなったことが3/15(火)に発表されました。そして当日になって、フォーゲルが自ら振付したソロ「Not in My Hands」がプログラムから外れてしまった。もともと「Not in〜」はAプロのみだったのだが、以降B、Cプロに入ることもなく、その他こまごまとした演目の変更があった。後述のインタヴューを読んで楽しみにしていたので残念だけど、バレエ公演では珍しいことではない。何よりダンサーのコンディションがだいじ。

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【Aプロ】

─ 第1部 ─

「春の水」
振付:アサフ・メッセレル
音楽:セルゲイ・ラフマニノフ
エリサ・バデネス、マルティ・フェルナンデス・パイシャ

「ソロ」
振付:ハンス・ファン・マーネン
音楽:ヨハン・セバスティアン・バッハ
ヘンリック・エリクソン、アレッサンドロ・ジャクイント、マッテオ・ミッチーニ

「コンチェルト」
振付:ケネス・マクミラン
音楽:ドミートリイ・ショスタコーヴィッチ
アグネス・スー、クリーメンス・フルーリッヒ

「眠れる森の美女」より グラン・パ・ド・ドゥ
振付:マリシア・ハイデ(マリウス・プティパに基づく)
音楽:ピョートル・チャイコフスキー
マッケンジー・ブラウン、デヴィッド・ムーア

─ 第2部 ─

「椿姫」より 第2幕のパ・ド・ドゥ
振付:ジョン・ノイマイヤー
音楽:フレデリック・ショパン
ピアノ演奏:菊池洋子
エリサ・バデネス、デヴィッド・ムーア

「やすらぎの地」(新作世界初演)
振付:アレッサンドロ・ジャクイント
音楽:ヤイール・エラザール・グロットマン、ライ
ヘンリック・エリクソン、アレッサンドロ・ジャクイント

「オネーギン」より 第1幕のパ・ド・ドゥ
振付:ジョン・クランコ
音楽:ピョートル・チャイコフスキー
ロシオ・アレマン、マルティ・フェルナンデス・パイシャ

「ブレイク・ワークス1」より “プット・ザット・アウェイ・アンド・トーク・トゥ・ミー”
振付:ウィリアム・フォーサイス
音楽:ジェイムズ・ブレイク
アグネス・スー、マッケンジー・ブラウン、マッテオ・ミッチーニ

「うたかたの恋」より 第2幕のパ・ド・ドゥ
振付:ケネス・マクミラン
音楽:フランツ・リスト
エリサ・バデネス、フリーデマン・フォーゲル

─ 第3部 ─

「ボレロ」
振付:モーリス・ベジャール
音楽:モーリス・ラヴェル
フリーデマン・フォーゲル
樋口祐輝、玉川貴博、大塚卓、岡��司 東京バレエ団

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幕開けにふさわしい明るさを持った「春の水」では美しく決まったリフトにため息とともに拍手が起こる。男性ふたりの官能的なパ・ド・ドゥ「やすらぎの地」、ジェイムズ・ブレイクの曲にフォーサイスが振付けた「Put That Away and Talk to Me」も印象的。スピード感、ユニゾンのシンクロ具合、力強いビート。めちゃ好み。「ブレイク・ワークス1」は皆よかったなー、アグネス・スー、マッケンジー・ブラウン、マッテオ・ミッチーニ。ブラウンとミッチーニは準ソリストとのことで、層の厚さを思い知る。また観たい、てか通しで観たい! ガラ公演になったことで、来日公演では観る機会が少なそうなコンテンポラリータイプのダンスを観られたことが、個人的にはうれしかったです。

しかし「やすらぎの地」でRhyeの曲を使用していることにあちゃーとはなった。Rhyeが何をして今どんな評価になっているか、転記するのもおぞましいので、気になる方は検索してみてください。作品と人物は別と思いたいところはあるけれど、Rhyeのそれは作品そのものに関わっていることだし、いいイメージはないですね。

「眠れる森の美女」は歌舞伎の飛び六方のような動きもあり興味深く観ました。「椿姫」のピアノのみ生演奏。『M』でも演奏されていた菊池洋子さんでうれしかった。カーテンコールもダンサーたちと手を繋いで前に出てきました。盛り沢山なプログラムは楽しい。

そんなガラらしさが一気に吹き飛んだのが二幕最後の「うたかたの恋」。ささやか乍らセットや小道具もあり、何よりエリサ・バデネス、フリーデマン・フォーゲルのふたりがあっという間にドラマティックな別世界へ連れて行ってくれました。これがあの『エリザベート』の息子ルドルフとその恋人マリーの悲劇だとは知らずに観ていてスン…となってたんですが、幕間に近くの席のおじいちゃんと小学生の孫らしきふたりが「すごい悲しそう。どうして?」「これは本当にあった歴史的な事件で、ふたりは心中しちゃうんだよ」と話していてヨヨヨとなりました。

言葉なき物語をちゃんと感じとったこの子もすごいし、孫をバレエに連れてくるおじいちゃんの豊かな感性にも感じ入りました。そして勿論、ちいさなこどもにも不穏な男女の関係を伝え切ったバデネスとフォーゲルの力量も素晴らしい。

カーテンコールでは、女性ダンサーに花束が贈られました。公演実現に奔走してくれた方々に感謝。ドラマティック・バレエの名門であるシュツットガルト・バレエ。ガラ公演になったことで悔しさもあったでしょうが、ヴァラエティに富んだプログラムが観られてうれしかったです。

来てくれて本当に有難う、次回は是非フルメンバーで通し公演を!

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・公演直前! フォーゲルインタビュー 〈シュツットガルト・バレエ団の輝けるスターたち〉┃NBS News
「(「ノット・イン・マイ・ハンズ」は)僕自身がやむにやまれず、友とともに創作したソロです。その頃、僕は非常につらい時期にありました。母の死とパンデミック、その後の世界中の劇場閉鎖と公演の中止......。これらの出来事によって沸き起こる強烈な感情に圧倒され、文字通り『意のままにならない』感覚を持ちました。僕の私的な経験を語っていますが、きっと多くのアーティストが同じような経験をしたと共感してくれるのではないかと思っています」

・現代随一のバレエダンサー、フリーデマン・フォーゲルに独占取材。コロナ禍を乗り越えて見えた世界とは┃婦人画報
「人生は何が起こるかわからないのだから、とにかく一瞬一瞬を楽しみ、精いっぱい生きるのが肝要であること。同時に、やはり人生はコントロール不能なことに満ちている。うまく自分の手の中に納めることなどできないという意味を込めて、『ノット・イン・マイ・ハンズ(NOT IN MY HANDS)』というタイトルを付けた作品を創りました」

・friedemannvogel_official┃instagram
フォーゲルのinstaより、舞台袖からのボレロ。後方のリズムの動きも見えて貴重な動画



2022年03月05日(土) ■
『全感覚祭 #NOWAR0305』

全感覚祭 #NOWAR0305』@新宿駅南口


ふらりと行ける社会活動。そんな場を設けてくれた十三月に感謝と敬意を。内容の詳細は後述リンクに優れた記事を置いておくのでそちらを。ここでは自分の目の前で起こっていたこと、自分が気づいたこと、考えたことを書く。SNSで「#NOWAR0305」を検索すると、いろいろなひとが見た、様々な様子を見ることが出来る。

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3/3、4にGEZANのマヒトゥ・ザ・ピーポーからの告知で開催を知る。




・#NOWAR0305 〈ウクライナ人道支援への寄付についてご報告〉┃GEZAN official site.
終了後、ステートメントもこちらの頁に移動している。

この日はさしたる予定もなかったので新宿に出てみることにした。ライヴが観られるという下心もあった。ちいさなフェスに出かけるのと近い感覚。しかし新宿南口? これだけのひとが集まって音を出せる場所があったっけ? 12時過ぎにNEWoMan側の改札から出てみると、ステージが設営されていた。ここか! 考えてみればバスタ新宿のオープンに伴い歩道が拡張されたので、ステージを組めるくらいスペースがあるのだった。これだけの幅があれば、他の歩行者の邪魔にはならない。

ステージに沿ってトラロープが置かれ(吊ってはいない。地面に置いてある)、そこを越えれば参加者だ。いや、それを越えずとも、向かいの歩道から、ミロードとサザンテラスを結ぶ橋の上から、バスタ新宿のベンチから、NEWoManのカフェやレストランから。多くのひとが参加していた。


カンパボックスを持った子がいたので、募金をしたらワッペンとフライヤーをくれた。ワッペンは北山雅和デザインのもの。GEZANを始めCORNELIUS、METAFIVEのアートワークを知っているひとにはすぐピンとくるタイポグラフィー。フライヤーはやがてモノクロのコピーになった。用意したカラー印刷のフライヤーが予想より早くなくなってしまったのだろう。ちなみにフライヤーには「坂本龍一(メッセージ代読)」の文字がなかった。開催を知った教授が直前に連絡をしてきたか、オファー側がギリギリ迄返事を待っていたかのどちらかだろう。こういうときの教授の行動は早い。だからこそ、現場へ足を運べないことに歯痒い思いがあるのではないだろうか。無事回復してほしい。


マヒトくんはこういっていたけれど、フライヤーには「当日の投げ銭ボックスは、経費を除きこの戦争で傷ついた人へ寄付をします。」と明記されていた。こちらもそれを承知の上で募金した。当日偶然近くを通って、事情を知らず募金をしたひとのことを考慮したのだろう。筋を通す。

進行の篠田ミルが定期的に「通行人の邪魔にならないように」「点字ブロックを踏まないように」「近隣のお店の迷惑にならないように」とアナウンスする。ときには「(飲食店で)おいしいものを食べ乍ら見るのもいいですよ」と、ユーモアを交えて話す。改札前にはJRの駅員が立っていて、通行人の質問(「何をやっているの?」)に応えつつ場を見守っている。公共の場で集会を開催するにあたり、キチンと許可をとり、普段からこの周辺で働いているひとたちとコミュニケーションをとっていることが窺えた。ここにも筋が通っている。

主催者がどういうデモを行いたいか、細心の注意と配慮を払っていると感じた。威圧感がなく、穏健なのが好もしかった。勿論怒りはある、主張したいことはある。しかしそれを撒き散らすことはしない。シュプレヒコールをしないのは、飛沫を撒き散らさないコロナ対策でもある。声をあげない代わりに拍手をする、プラカードを掲げる。プラカードは参加者が自主的につくったものもあれば、そのつくったものをアップロードして共有出来るようにしたものもあった(「#NOWAR0305 ネットプリント」で検索するとわんさか出てくる)。篠田さんもマヒトくんも、事情を知らない通行人に見えるようにボードを掲げてくれといった。青と黄色のウクライナカラーが、晴天の背景に映える。こういうアピールの仕方もあるのだ。配信用、媒体用の撮影がしっかり行われていることにも感心した。そうすることで、より多くのひとの目に留まる。


ボランティアスタッフの方のツイート。スレッド全部読んでほしい。

前方に、プーチンの顔写真のコラージュと攻撃的な文言が書かれたプラカードを持ったひとがいたが、途中からいなくなった。この日は各所で多くのデモが開催されており、そこから流れてきたひともいたようだった。転換時、遠くから拡声器を使ったような声が聞こえるなあと思っていたが、村井康司さんのツイートによると、新宿駅だけでもこんな感じだったらしい。スタッフの方のこういった地道な活動が、場を守っていたのだともいえる。

参加したひとの思いはバラバラだ。そして、モヤモヤしている。七尾旅人や大友良英がいったように、ロシアだけが悪いのではない。そして、ロシアの文化を否定する謂れはない。戦争によって「傷つき、危機的な状況に置かれている人たち」は、どちらの国にもいるのだ。共通して止めなければならないのは、罪のない市民の命と住居が奪われること、歴史を物語る文化財や自然が破壊されること。守らなければならないのは、こどもや、ペットや、動物園の動物たちや、野に生きているあらゆるいきものの命。そして侵略に反対する人々の声が認められ、その安全が守られることだ。

折坂悠太は「どんどんモヤモヤすればいいと思います」といった。「(それぞれがバラバラな考えを持ったまま)まとまらないことが戦争っていう大きい結論に対抗する手段じゃないかなというふうに思います。ない答えを考え続けましょう。この世界を、ちょっとマシなものにしましょう」(後述リンク参照)という言葉が自分にはしっくりきた。方法は種々あるが、これからもコミットしていくことに決めた。

「そんなことをしても何にもなりませんよ〜」と声をかけ乍ら去っていく通行人がひとりいた。意外と気にならない。そんな冷笑に対して使う感情も時間も勿体ないからだ。ステージから、ウクライナ在住の方の「応援してくださる人がいることが希望の光だ」というメッセージが代読された。

終了後、細々とした用事を済ませ、一時間半後に同じ場所へ行ってみる。ステージもテントもひとも、跡形もなく消えていた。ちょっとしたゴミすらもない。大友さんの「新宿のこの場所でこんなことが出来るんだ」という言葉を思い出す。全感覚祭で培ってきたノウハウの蓄積もあると思うが、十三月の機動力は、それは鮮やかなものだった。

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・「戦争反対」と叫ぶのは無意味か?『No War 0305』でGEZANらと1万人のデモが暴力と冷笑に抗議┃CINRA

・反戦という紐帯、あるいはいかにして「音楽の力」と向き合うか――個々別々の人間が同じ場に居合わせることの可能性について┃細田成嗣┃note

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おぼえがき。

・印象的だったのは、ステージ横の甲州街道を通る救急車の多さ。5時間近くいる間、何台通ったか……非常時が日常になりつつあるなと改めて実感

・ごはん食べてから戻る道すがら見た、続々と会場へ向かっているひとたちの姿も記憶に残る。プラカードを手にしているひと、青と黄色の服や帽子を着けているひと、花を持っているひと。年齢層もさまざまだったが、若者が多かったのも印象深い

・坂口恭平さんが「絵を頼まれたんだけどねえ」といいつつ一曲唄って帰ってったの、なんかよかった

・このタイミングで折坂くんの「炎」を聴けたこと、よかったといっていいのかなんというか。いい歌だよね……

・大友さんの言葉には感じ入るものが多かった。ノイズ、シビれました

・テニスコーツが「Everybody Wants To Rule The World」カヴァーしてビックリした! イントロまんま(てかサンプリング)! 思わず声出た! 前日とその前週ベストヒットUSAでTears For Fears特集を観ており、その際流れた「〜Rule The World」のMVを観てモヤモヤしていたのだ




新譜、とてもよいです♡