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2025年01月11日(土)
『終点 まさゆめ』

『終点 まさゆめ』@彩の国さいたま芸術劇場 小ホール

『終点 まさゆめ』心のふるさとさい芸、今年も宜しくお願いします。新年1本目に松井周×菅原直樹のタッグというゴリゴリの噛み応え。コロナ禍で中止になってしまった『聖地』のリメイクがこうなるとは! ゴールドシアターのメンバーとも再会出来てうれしかった

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— kai (@flower-lens.bsky.social) Jan 11, 2025 at 18:56

さい芸の小ホールは、青山円形劇場が使えない(なくなったとはいわない。ずっと劇場はあの地に「在る」のだ)今、いちばん好きな劇場空間。

『聖地』から約15年。2021年に上演予定だった『聖地2030』はコロナ禍により中止となり、その年の年末にゴールドシアターは解散。『水の駅』が最終公演となった。

・【公演中止】さいたまゴールド・シアター第 8 回公演 『聖地2030』┃彩の国さいたま芸術劇場

蜷川幸雄の死後も、さい芸は高齢者による舞台づくりを継続している。2018年に開催された『世界ゴールド祭2018』で、岡山を拠点とするOiBokkeShiがさいたま初登場。『よみちにひはくれない』浦和バージョンが上演され、そのことが『聖地2030』の、そして今回のコラボレーションに繋がったと思われる。さい芸の渡辺弘氏の尽力も大きい。年明けからヘヴィーな観劇になりそうという不安と、いやいやこのふたりの作品なら単にしんどいだけで帰らせないだろうという期待を抱えて与野本町へ。結果、笑顔で劇場をあとにした。

ロビーには出演者の顔写真とプロフィールが展示されていた。「今日の『もと』を当てましょう! 応援したい出演者を選んでください。当選者には景品を差し上げます!」と書かれた箱には、出演者の顔写真カードが入ったネックストラップが積まれている。「『もと』ってなんだ???」と思いつつ、ひとりを選ぶ。ちょっと恥ずかしいので(笑)首から下げず手に持って入場。

スタッフワークも上質。ステージにはテーブルと椅子、天井にはミラーシート、フロア上手にはミラーボール。カワイイ宇宙と不気味な祝祭空間を同居させる。下手に設置されたデジタルサイネージには、出演者の全身像が順番に映し出され……んん? 人物が入れ替わる際混ざっている! あのーあれよ、マイケル・ジャクソンの「Black Or White」MVみたいなやつよ。モーフィングというのかな。男性が女性に、若者が老人に、小柄な人物が大きな身体に……開演迄の時間、見入ってしまう。舞台美術は森純平と志賀耕太とクレジットされていたが、映像もそうだったのだろうか。人間が混ざる。混ざったことで新しい人間が生まれる……とても印象的だった。衣裳は小松陽佳留。ハイバイ『おとこたち』で衝撃を受け、以降小物の見立てが素晴らしいな、誰だろうとクレジットを見るとこの方の仕事、ということがとても増えた。今回は黄色いスカーフひとつで未来のファッションを表現。かわいいし面白い、誰だろう? と当日パンフレットを確かめると小松さんだった。シルバーとイエローに明るい未来、舞台奥の暗闇は死の色濃い宇宙空間。怖いコントラスト。

さて、ピンコロ目指して幸せな老後を過ごせる惑星「まさゆめ」へと高齢者たちは宇宙船で旅立つ。リビングルームのようなスペースで、自己紹介をしつつ「まさゆめ」に着いたら何をしたいか語り合う。牡蠣養殖家、宮大工、音楽プロデューサー、看護師……自分の生業を「まさゆめ」でも活かしたいひと、働きづめだったから「まさゆめ」ではのんびり過ごしたいひとと、夢見る「老後のくらし」はさまざま。ひとりだけ明らかな若者がいることに違和感を残しつつ談笑していると、事故が起こる。燃料不足で、ひとりだけ船から降ろさないといけないとAIはいう。これから7分以内に、誰を降ろすか議論し決めてください。「役に立たない」ひとを選んでください。

「役に立たない」人間もAIが選べそうなもんだが、それを当事者(人間)同士の議論で選ばせるというところが残酷。AIの卑怯というか姑息というかおまっAIなのに責任逃れすんなよなどと思う。その後宇宙船は海賊に襲われたり感染症が蔓延したりするのだが、その都度「不要」な人間を選ぶための議論が行われる。

面白いのは、その「不要」な条件が状況によって変わることだ。宇宙船の運航のためには「役に立つひと」が必要。海賊は「仲間にふさわしい悪人」が必要。いかに社会に貢献したかをアピールしていた乗員たちが、海賊の仲間になるべく悪事を次々を暴露する。実は産地偽装してました、パワハラかなあ、若い女性を囲ってました……。その掌の返しっぷりに観客が湧く。産地偽装のワードが出たときなんて、ドッと笑いが起きた(笑・演じる石川さんの間が絶妙だった)。直後フォローの言葉にハッとする、「福島で、風況被害がすごくて」「仕方がなかったのよ」。

なんでも議論のシーンには台本がないという。演者が実際に体験したことなのか、演者自身の創作なのか……そのことをニヤニヤ考え乍ら観ていると、虚を突かれるようにエモーショナルな瞬間が訪れる。

「もと」を当てましょう! と入場時に出演者の顔写真がプリントされたカードを自分で選ぶんだけど、当てたので景品もらえました😇議論によって「もと」が毎回変わります。各人のエピソードも台本にはないそうで、今日はシフォンケーキのとこで泣いちゃった。17cmの型っての

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— kai (@flower-lens.bsky.social) Jan 11, 2025 at 18:58


孫を名乗る女性と、宮大工の会話だ。「おじいちゃんのシフォンケーキ食べたいな」「ああ、あるよ。今日は17cmの型で作ったよ」「どうして17cmで作ったの?」「おまえが来ると思わなかったから、自分で食べる用にちいさいので作ったんだ」。ぽろっと涙が出た。これはなかなか創作では出てこない言葉ではないだろうか。ふとした言葉、ふとした仕草から、演者の日々の暮らしが浮かび上がる。虚実の境目が消え、心に刺さる台詞の数々。長い長い人生の旅をゆき、そこで得た体験の数々が舞台に出現する。

「不要」な他者を選ぼうとしていた人間たちは、最終的に生き残らせるためのひとりを選ぶ。そこではもはやAIが「不要」なものとなる。彼らは目まぐるしく変わる環境を前に、自分たちで決めたことだから恨みっこなしよといえる呑気さを持っている。「ワンチャン生き残れるかもしれないもの」。達観と諦めに、かわいらしさが滲む。「もと」は宇宙へと放たれる。それは未来に生きる人類の根源となるか。大きな絶望とほのかな希望を余韻をとし、登場人物たちとともに「もと」を見送る。

高齢者のキャストはオーディションで選ばれた。千鳥のノブみたいに喋るひとがいるな…かわいいな……と思っていた女性は岡山からの参加者だった。この公演は、菅原さんの拠点である岡山でも上演されている。さい芸と岡山芸術創造劇場のタッグ、これからも観られるとうれしいな。終演後に見かけた出演者に杖をついているひとがいた。舞台上ではあんなにキビキビ動いていたのに! カーテンコールでは「石川さん、応援に来たよ!」「有難う!」なんて客席と舞台のやりとりもあり、演劇が心身に与える効果について考えた一日だった。

そうそう、唐組の久保井研さんが出るってのが意外というか何の役すんの? と思ってたんだが海賊役だった。ピッタリ(笑)。ニヤニヤ笑って議論聞いてるとことかめちゃめちゃおかしかった。

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・渡辺弘/菅原直樹 高齢者演劇先進国のこれまでとこれから―地方都市から発信を続けるエキスパートたち┃PANJ
渡辺 “すごくローカルなことが世界とクロスする”のがいいですよね。
公共劇場だからこそ出来ること。これからの活動も楽しみにしています

・松井さんの脳内ミューズ(?)アイドルは今回も登場。『聖地』は一度しか観ていないのに劇中出てきたキノコちゃんの歌、今でも唄えます……超インパクトがあって、超キャッチーなメロディーだったもんでな

・ちなみに自分は宇宙空間での事故がいちばん怖いマンなので、ぜってー移住はしないな……着いたら農業をとか養殖をとかいってたけどマジで出来んのか? 騙されてないか? どっか違うとこ連れてかれんじゃねーか? と序盤から疑念でいっぱい。宇宙へ行くなんて『ハイ・ライフ』みたいな未来しか見えないよ〜!

・アフタートークも面白かった。この日の登壇者は渡辺さん、松井さん、竹居正武、石川佳代、荒木知佳。蜷川さんの思い出話も結構聞けてうれしかったなー。『PLAN 75』の話にですよねってなってるひと結構いたっぽい。『聖地』観てたらそう思うよな……。「まあでも、今の社会を生きていたら誰でも思いつくことなのかもしれませんね」と松井さん。ゴールドシアターに入団したときは若手だったという竹居さんは大病を経て再び舞台に立てた喜びと、岡山で稽古中に体調を崩したときのスタッフの対応に感動したことなどを話していた。ゴールドシアターの活動で培われたノウハウは、スタッフたちにも継承されている

・演劇は観るよりやる方が断然楽しいですよ! 皆もっと気軽に演劇しましょう! と松井さん。演劇が心身に与える効果ってやっぱりあるよねえ



2025年01月10日(金)
TOKYO No.1 SOUL SET『NEW YEAR'S PARTY〜新年会SET '25〜』

TOKYO No.1 SOUL SET『NEW YEAR'S PARTY〜新年会SET '25〜』DJ, New-Goods, New-Song, Live & After Party@Shibuya CLUB QUATTRO

2年目にして恒例の新年会(20年以上忘年会だった)「黄昏'95」30周年ビビるわ にしても新曲のトラック何 ヒロシくん天才

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— kai (@flower-lens.bsky.social) Jan 11, 2025 at 1:17

「年末年始はゆっくり休んでハワイに行きたい!」というのが忘年会を新年会にした動機だった筈ですが、逆にもろもろの準備でむしろ落ち着かない年末年始になっているそうです(…)。「確認とかでしょっちゅうLINE来るしさあ!」とビッケがぼやいていた。
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オープニングDJ:
HOTEI
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LIVE:
川辺ヒロシ
渡辺俊美
BIKKE
笹沼位吉(ベース)
三星章紘(パーカッション)
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DJ〜LIVE〜アフパのクラブ仕様、いいわあ。しかし2年目にしてもう面倒くさくなってきたのか、下手側のDJブースに「行かなくてよくない? 移動する意味なくない?」とビッケがいいだしステージ上でジャンケン大会を始めたのでした。ゆるい。ちなみに昨年はDJブースに3人が移動してそこでジャンケン大会、その後フロアに降りて談笑という流れでした。初回だったからか段取りを守ろうとした様子が窺えます。

てか「黄昏'95」30周年! なんか年末のRIZINのオープニング映像の音楽に使われたそうで話題になってましたが、そんなになるか〜と感慨深い。曲に関してもだけど、そもそもソウルセット自体がこんなに長く続くとは……なんて、これ毎年いってるような気もする。こんなおらおらでひとりいぐもの3人がなあ…何年か前トシミくんが「どうぶつ占いで調べたら全員オオカミだった」といってたくらいの3人がなあ……って、どうぶつ占いをするのか。

しかしなおらおらでひとりいぐもっぷりは以前より強くなった気すらする。というか、なんだかシティボーイズみが出てきた。トシミはひとりで盛り上がって好きにギターをガンガン弾いてエモーショナルに唄いあげ、そのトシミがビッケに唄わせようと(多分リハはしてたんだと思うが)サビ前で「ビッケー!」と呼んでもビッケが全く気付かずよそ向いたり水飲んだりしてて「ビッケー! ビッケー!! ビッケー!!! ビッケさん!!!」(実際はもっと呼んでた)と叫んでようやく伝わったりな。ビッケはMC(ラップの、ではなく曲間のMC)でずっとボヤいてて、「はい、そうですよね」とかひとりで完結してて、その間他のふたりは多分その話聞いてない(笑)。そしてヒロシくんはいつでもクール。皆好き勝手にやっているように見えるのに、揃って音を出したときの強さな! 以前は通ったあとはぺんぺん草も生えない戦車のよう! とかいってたが、平和を願って今は耕運機と言いたい。土を耕し花を咲かせるのよ。

そう思ったのは最新曲「花を待つ」があまりにもピースフルだったから。沖縄民謡をベースにしたようなループトラック、カチャーシーのように踊り唄うトシミとビッケ。だいたいこんなトラック持ってくるのヒロシくんは天才だし、このトラックにああいうメロディーのせる芸当はトシミにしか出来ないし、ビッケのライムは年々力強く、フロアに笑顔を咲きまくらせていた。ピース。

何が変わって何が変わらないのだろうと思う。明らかに変化があったとすれば、アクティヴになったことかな。特にビッケ。もともとサッカー小僧だった(今も草サッカーやってるのかな?)とはいえ、90〜00年代は酔いどれ詩人と呼ばれたひとですよ。当時はスタンドマイクにもたれかかるようにして唄い語っていたじゃないですか。それが今ではハンドマイクで、挙動もイマドキのラッパーのよう。「Sunday」の跳ねっぷりとかすごいもんね、同じことしたらこっちの息が切れるわ。いつからこうなったっけか……酒をやめたとかいわれてたときくらいからか? この日も最後の乾杯のとき、「俺はこれでいいよ」って水飲んでた。完全にやめてる感じなんだろうか。ヘルシーで本人もそれが気持ちよいならいいことです。

それをいったらはなちゃんがあんなにワーイなってんの初めて見た気がする。めちゃめちゃおっかないひとというイメージが定着しているのだが(これはビッケとトシミがそういうことばっかいうから)、今回声援に応えて笑顔で手を振ったりしていたのでめちゃめちゃビックリした! クルー全体が、衒いなくポジティヴな光をまとうようになった。

変わらないのは、己の道を突き進む3人がそれぞれしかとひとりで立っていることかな。事務所に所属していないときも、それぞれのアイディアを自分の畑から持ち寄って、3人でいろんな企画を立ててた。思えばリレコーディングでベスト盤を出したのも、サンプリングの著作権をクリアするだけでなく、レコードの版権を自分たちで管理出来るようにするためだったのかもしれないな……と、DOMOTO(旧KinKi Kids)の事例を見ていて思ったのでした。そのことにより、廃盤になっていたアルバムの楽曲も多くのひとに聴いてもらえる手段が出来た。よかったよかった。

「曲、沢山やるので、多分、アフターパーティーの時間は短くなると思います!」 というビッケの言葉とおり、新旧曲がもりもりの盛り沢山セットリスト。幕開けの「ヤード」は3人きりの格好よさ。三橋くんのソロ(!)をフィーチャーする等バンドセットもキレキレ。前にきゃあきゃあいって動画を撮ってるお嬢さん方がいて、若いリスナーが増えているのを実感。江戸屋の若手スタッフが優秀なのかもしれん……と思う。本人らは「介護のためにあてがわれたんだよねー。介護だよ介護」なんていってたけど、いろんな層にソウルセットの音楽が届けようと工夫していることが窺える。SNSの使い方も上手いし、あと地方のいいスペース(ライヴハウスに限らない)を見つけてきて、今回の新年会のようなパーティーを開催してる。この辺はヒロシくんのDJ仕事から来る目利きもあるだろう。「場所」をつくるのって、その土地とのいい関係を築くことから始まるので、息の長い活動にも繋がりますよね。

そうやって新旧のリスナーが集い、新しい曲に対する反応もすごいいい。とてもいい活動形態だと思う。勿論ずっと瑞々しい曲をつくれていることがまずすごい。これからも聴いていきます、大好き。

よだん。オープニングDJ、HOTEIくんの本名とニックネームの由来を初めて知る。長年本名だと思ってたんで意外といる苗字なんだなあと思っていた。



2025年01月05日(日)
『rockin'on sonic』2日目

『rockin'on sonic』@幕張メッセ国際展示場

ウェールズのひばりは今年も元気いっぱいでした! これからも元気でいて!

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— kai (@flower-lens.bsky.social) Jan 5, 2025 at 23:34

大本命。新年早々マニックスが来てくれるなんて! 体力温存のためのんびり出かけるかと話していたら意外と出順が早く、しかもその前がジザメリだというので結局1日目より早く会場着。ウェールズ国旗をマントのようにまとっているひとがチラホラ。高まる〜。

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■THE JESUS AND MARY CHAIN(GALAXY STAGE)
朝(午後)イチの出演、大丈夫か……と思ったものの、屋内なので暗い。そして暗いところがよく似合う兄弟。ガラスの心の兄とマフィアルックの弟は共に歩んでいくのでした。しかしお兄ちゃんどんどんMELVINSのバズみが出てきたな…見かけも……。しかし変わらずギターは強烈。単音なのに音がぶっとい! 途中ギタートラブルがあったようですが、スタッフと相談するお兄ちゃんを静かに見守りいくらでも待つよ、とでもいうように落ち着いた風情の弟でした。で、お兄ちゃん大丈夫とかOKとかの前振りもなく、いきなり弾き始める。弟もそれが当たり前のようにすっと唄いだす。お兄ちゃんはともかく弟、大人になった……(そんなんばっかり)兄を守るのは俺、みたくなってる!

■MANIC STREET PREACHERS(GALAXY STAGE)
あけましておめでとうございます! ウェールズのひばりは年明けから全開! 恒例ジェイムズの「お元気ですか!」の挨拶から快活にスタート。キビキビハキハキ、はあ〜気持ちがよい。カメラマンピットにはミッチさんの赤いキャップがチラチラ見える。いつもの風景にうれしくなる。12曲やったんだけど体感時間短かったな……わあんもう終わり? って。ジェイムズいつでもキビキビ働くから曲間も短いのよね……。
しかしなかなか珍しいセットリストだった。初っ端からの「You Love Us」にはこいつぁ春から縁起がいいやねってな盛り上がりでしたが2曲目がなんと「La tristesse durera」。そして「From Despair to Where」からの「Yes」!!! 正月から! これを!! やるか!!!(歌詞参照)
後述のsetlist.fmによれば、前回演奏したのはなんと2015年。ほぼ10年ぶり……『THE HOLY BIBLE』再現ライヴツアー以来ということか。ちなみにこの再現ライヴ、マニックスの3人だけでやりきったのだった。二部構成の後半、『THB』以外のナンバー4曲にはサポートが入った。4曲の演奏だけのためにサポートを連れてきてくれた。
当時はほぼ全てが詞先、特に『THB』はリッチーの精神世界が色濃く反映されている。符割何それとでもいうように溢れるその言葉に、ジェイムズは音をあてていった。「曲作りも難しかったし、ましてやそれをライヴで演奏し同時に唄うなんてすごくたいへんなんだよ」と話していたのを憶えている。そして「でもそれを嫌だと思ったことはない。あの詞を歌にするんだから」ともいっていた。「リッチーは日本を愛していたよ」とニッキーがさりげなく話したように、彼らはいつでもリッチーが傍にいることを伝えてくれる。
今回は近年不動のサポート、ニックとウェインが全曲参加。「Yes」のギターもウェインがフォローしていた。「A Design For Life」のリフは全部ウェインが弾き、ジェイムズがコードを弾いていた。ちょっとホッとするよね、今迄が負担デカすぎたんや……あれが普通だと思ってちゃいかんのよ! ジェイムズがすごすぎるんだよ!
ウェインはアコギも弾くしコーラスも担当、静かな佇まい乍らサビでジャンプしたり手拍子を促したりと最年少らしい若々しさねと思っていたら彼にも白髪が増えてきてて歳月……! となる。マニックスの3人はともかく、ウェインもそんなになったか〜。共に白髪の生える迄が現実になりつつある。皆元気でいて! こっちも元気でいたい!
で、多少(多少ね)余裕が出来たジェイムズが、エフェクターボードに釘付けにならずに済んでいるので広いステージを歩きまわる場面もあり、ソロのとき何度も下手側に来てくれた。しかし気ままに動くからなのか照明が追いつかず、真っ暗ななか弾いていた。で、ピンスポがようやく追いついたらもうそこにはいないの。機敏。「東京で買ったギターで演奏するよ〜」という場面もありニッコリ。マニスエ歌合戦(後述)で来日したときお買い物したのね。
そうそう、「Motorcycle Emptiness」時のシンガロングの指導が面白すぎた。サビのとき右! 左! と交互にフロアを指差し(というかパンチする勢い)「ヤー(唄ってといってるっぽいんだけどどうにもSing! に聴こえない)!」みたくシャウトするジェイムズ。客をサボらせない。いつでもどこでも元気いっぱいのジェイムズでした。見習いたい。
それにしてもボビーといいジャーヴィスといい今回指導が多く入ったな。新年のやる気?
ジェイムズのことばかり書いているのは下手側前方にいたのでニッキーが1割くらいしか見えなかったからです。ステージ奥にいるショーンもほぼ見えず。音は満喫しました。
一昨年のマニスエ歌合戦に続き、最後は「If You Tolerate This Your Children Will Be Next」。やはり強いメッセージを感じる。ボビーのいうとおり、。何しろ「Yes」をやりましたし、正月ボケも吹っ飛びましたよ。新年から身が引き締まる思いでした。
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・Setlist┃setlist.fm
01. You Love Us
02. La tristesse durera (Scream to a Sigh)
03. Decline & Fall
04. You Stole the Sun From My Heart
05. No Surface All Feeling
06. Motorcycle Emptiness
07. From Despair to Where
08. Yes (first time since 2015)
09. A Design for Life
10. Little Baby Nothing
(International Blue)
(Motown Junk)
11. Your Love Alone Is Not Enough
12. If You Tolerate This Your Children Will Be Next
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Note: "International Blue" and "Motown Junk" were on the setlist but weren't played due to time constraints
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安心と信頼のsetlist.fm、どんなネットワークなのか謎。当初の予定より2曲削られたのが残念! そして今回引用が不明なのなー。セトリには必ずニッキーが引用したテキストが入るのです。SNSで見かけた画像はぼやけて見えなかった。誰のテキストだったんだろう。




ソニーさんマメで有難い! 新譜も楽しみです!

・マニックスの新章がrockin’on sonicで始動! 3年ぶりの新作『クリティカル・シンキング』リリース直前でどんなステージを見せてくれるのか、そして来日への期待をジェームスに訊いた
┃rockin'on

新年最初の数日間をいつもと同じ気晴らしと実存主義で過ごすよりも、アメージングな国でアメージングなライブをやって気晴らしをした方が全然気分が晴れると思ったんだ。
「You Love Us」をやらないと正気を失うと思われている。だから一曲目だったんだろうか。あと「A Design For Life」はウェールズの国歌なのでやりますよね(真顔で)。レモンツイッグスとデスキャブのサインはもらえたかな?
ところでジェイムズ、ホントにジャガイモが好きなんだな…チップスも自作するもんな……(ミッチさんの写真集参照)。

ショーンマジでカストロに似てきたよねなどと話して大ウケ。バチカンのエクソシストからカストロに……SEGAのニット帽被ってたロン毛のあの子が! しばし休憩して次に臨みます。

■DEATH CAB FOR CUTIE(GALAXY STAGE)
「The New Year」をNew Yearに聴けた、エモい(またか)! ハードコアエモのサウンドに、PET SHOP BOYSのニールさんばりのヴェルヴェット美声というギャップ。そして美メロ。こちらもお噂はかねがねだったのだけどライヴ体験出来ていなかったバンドです。ツインベースで演奏する楽曲も。よかった…リズムが面白いね……。

■CIGARETTES AFTER SEX(COSMO STAGE)
チルアウト気味に観られるかなと思って寄ったら熱狂的なファンがいらっしゃって悲鳴のような歓声が上がっており、ゆったりめな曲でも非常に熱い現場でした。

これにて終了。翌日の仕事始めに備えWEEZERは諦め、海浜幕張駅前のサイゼリヤで打ち上げして帰りました。

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お食事。「想いの茸」でした、失礼しました! 北海道中標津産ブランド椎茸だそうです。バター醤油焼きの他にもチーズ焼きとかあってどれもおいしそうだった。
雑煮もおいしかった。ウチの雑煮も鶏なんで馴染み深い味でした。伊勢海老雑煮もあったけど価格に怯んでやめときました(笑)。
シークヮーサースカッシュとかクラムチャウダーとか、つめたいのとあったかいの両方楽しめるのもよかったなあ。展示場のカフェテラスも開いていたのでコーヒー飲みに行ったりしました。休める場所が沢山あるっていいね…混雑しすぎないっていいね……。示しあわせていなくても知人友人に遭遇出来るくらいの人出でホント快適だったし楽しかった。

“主に90年代から活躍しているオルタナティヴロックに特化した洋楽”というある意味偏ったセレクトなので、リスナーの嗜好も近い。よって「地蔵」(根に持つ)がいないというのもよかった。来年も期待してます! インタヴューで山●が当初のプランにはスマパンが入っていたといってたんで是非呼んでください! そんな思わせぶりな、生殺しみたいなこというってことは望みありってことよね……実現してくれ!



2025年01月04日(土)
『rockin'on sonic』1日目

『rockin'on sonic』@幕張メッセ国際展示場

PULP素晴らしかった〜その上サポートのパーカッションににアダム・ベッツ(ショバリーダーワンのカンパニーレーザー)がいてたまげた…似てるな〜思ってたらメンバー紹介されてキエーとなる
(画像は軽井澤ソフトクリームの白樺ミルク)

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— kai (@flower-lens.bsky.social) Jan 5, 2025 at 1:23

近年のフェス名物(?)、軽井澤ソフトクリーム。「チョコディップソフト 牧場ブラック」がおいしいんだが今回はメニューになかった。ソフトクリームを溶かしたチョコレートに浸して予冷で固めるんだけど、ソフトが折れてチョコ缶にドボンと落ちたのを目撃したこともあったな……。フェスだと延々客が来るのでつくるのたいへんなのかもしれない。ミルクだけでもおいしかったです!

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今年から始まった年始フェスですよ〜。夏が本当にダメでエレグラ(昔11〜12月にやってたオールナイト大バコフェス)大好きマンなので、冬フェスうれしい。それにしても快適でした。インフルエンザ等感染症にさえ気をつければ(こればっかりは自衛だな)めちゃめちゃ過ごしやすい。恒例になってほしいなー。

屋内は適度な暖かさで底冷えもない。ロッカーやクロークが潤沢にある(自分は軽装だったので預けなくても大丈夫だった)。飲食スペースが充実していて休憩用のテーブルや椅子も沢山ある。トイレもそんなに並ばない。被りなしの2ステージなので移動に時間がかからず、その気になれば全アクトをフルで観られる。混雑具合も入場規制がかかる程ではないし、どちらのステージにもスクリーンがあるので、無理をしなければどこからでもストレスなく観られる。プレミアムチケットの販売はなくても、子連れのバギーや車椅子用のスペースもしっかり確保されており、キャパオーバーにはならないくらいの余裕がある。そしてああいうコンクリート打ちっ放しで天井が異様に高いイヴェントスペースにも関わらず音がよい。Creativemanとrockin' on、フェスのプロがつくったなー! という空間が用意されていました。いや〜快適快適。

あとなんや…治安がよかったな……(笑)。ラインナップが90年代から活躍しているバンドメイン、客層のターゲットが絞られているので参加者の年齢層が高めということと、翌週から仕事始めのひとも多かっただろうから「無茶するとあとあと響く! 仕事始めから休むことになってはまずい!」という自制が働くのかもしれん。でも思ったより若者もいた。SNSやサブスクで昔の曲にアクセスしやすくなっているので、それで興味を持って来たひとも多いのかも。うれしいことです。

ただrockin' on(というか山●洋一郎)とクリマンの主催ということで、山●に金を払いたくないという気持ちが強く(いろいろあるんですよ)ダラダラと購入を遅らせていたのだった。流石にいい加減買わんといかんか、とようやく12月25日夜にぴあで購入……の筈が、手続き途中で日付を跨いだら販売終了になってしまい狼狽。ひょっとして販売期間が25日の23:59迄とかだった? 早い! 年末年始営業の関係? 慌てて他を探すと、e+でスマチケだけが販売されていた。MIOさんと一緒にチケットとって頂きました有難うございます(どげざ)。前はタブレットでもスマチケ使えたのにー皆が皆スマホ持ってると思うなよとずっという。

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という訳で(?)着いたらまずごはん。アントラーズのサポーターでもあるMIOさんが、カシマスタジアム名物のお店が出てる! おいしいよ! というのでついていく。五浦ハムというお店。ホットドッグならぬ豚ドッグをいただきました。ソーセージが長い! うまい! パンもうまい! のんびり食べてさあ出発。

■FRIENDLY FIRES(GALAXY STAGE)
チラ見だったがえれえ好みだった。尖ったダンストラック、ハイテンションのヴォーカル。当時お名前はかねがね伺っておりましたが、実際に音を聴く機会を逃してしまったバンドのひとつ。そういうの沢山あったなー。今は大概サブスクやYouTubeを探せば音もライヴの様子も知ることが出来る。フェスに備えて「予習」しよう! という風習も最近になってのことですよね。いきなり現場で知って衝撃を受けるという出会いも愛していますが、やっぱ便利な世の中になったなーといきなり感慨に耽ったりしました。

■JIMMY EAT WORLD(GALAXY STAGE)
ヘイヘイJEWだよー! エモい! 十数年前チケットとってたのに(今はなきAX)仕事で行けなくて、以降なんだか疎遠になってしまってました。あのーあの頃だよ、孔雀の羽根がジャケの……「Chase This Light」! そういえばその前の「Futures」、電話ボックスがジャケだったな……時代の流れを感じる。
しかし皆さん今も元気でうれしい! エモい(再)! ジム、変わらん……歌声は勿論だが見掛けも変わらん。髪型といいファッションといい。アーとかオーとか言葉にならないシンガロングが沢山あるので、一緒に唄えて楽しかったです。「Sweetness」や「Bleed American」聴けてうれしかった。色褪せない名曲の数々。

■PRIMAL SCREAM(GALAXY STAGE)
2022年のソニマニ以来のプライマル、ボビたんゴキゲン。細身のラメラメスーツ(CELINEですってよ。探し当てるガチファン流石です)を着こなして、ゆらりと現れすうっと唄い出す。カッコええー。ときどき笑顔も見せ、いやあ丸くなったねえ、いい意味でなどと思う。終盤の「Loaded」〜「Rocks」ド定番4連チャンもすごかったが近作もバランスよく織り込まれていた。流石フェス慣れしている、貫禄のステージ。
しかし囁くように唄う場面で「シー、静かに」といったとき、興奮した客が騒いだらビシィとそこを指差しキルユーみたいになってたのウケた。てか当時の感覚からすると客に指導入れることすら珍しくない? 指導てか客とコミュニケートするんだと驚いた。そういや前述ソニマニの『Screamadelica』再現セットのときもフロアにマイク向けてたわね。でもそのときってコロナ下での開催だったので声出しNGだったんだよ(…)。
ボビたんが不安定なとき場を和ませてくれていたマニはバンドを離れたけれど(てか今何やってんだろう。元気でいて〜)、そうやってひとは大人になるのだった。
・Interview PRIMAL SCREAM Bobby Gillespie『自分なりにできる小さなことがきっとあるはず』┃AVE
めちゃめちゃいいこといってる! ガザ支援Tシャツも出していたし、しっかりアクションも起こしているんですよね。立派になって……(失礼)。

■ST. VINCENT(COSMO STAGE)
ぎゃーめちゃめちゃよい! バンドの演奏もよい! PULPに備えるため早退してしまったがめちゃめちゃよかったんですけど! フルで観たかった!
マーク・ジュリアナがドラム、ジェイソン・フォークナーがギターというのは聞いていたが(ちなみにマークは年末の自分のライヴが終わったあとずっと日本にいたそうです。そりゃいったん帰るのも面倒だもんな……)他のメンバーもキャラと演奏が立ちまくっている。
ロビン・フィンクみのある美形がセーラー服みたいな衣裳でアグレッシヴなベースを弾いている。あの子は誰!? と帰宅後調べてみたら、モデルでもあるシャーロット・ケンプ・ミュールという人物とのこと。ちなみにショーン・レノンのパートナーだそうです。ショーン「彼女は日本に出発。初めて離れる年末年始なんだ〜」てラブラブのツイート上げてたけどその後消しちゃってた。どうした。鍵盤の女性も格好よかったな……全員演奏は勿論ヴィジュアルがよい。
それにしてもアニー・クラークのカリスマよ。キュロット(って今でもいうの? そしてどちらかというとちょうちんブルマーのようでもあり……しかしそれが格好いいのよ!)姿で大股開き、ギターを弾きまくっていたかと思えばマイクロコルグみたいなミニシンセを操り、ハンドマイクで動き回ったりも。ジェイソンとのギター合戦も見応えあった。マークは真っ当はロックドラマーに徹していた印象。
どなたか書いてたけどNINみがあったな……特に『Hesitation Marks』ツアー時の。『Stop Making Sense』にインスピレーションを得たやつ。思えばアニーはデイヴィッド・バーンとコラボもしてた。この辺が好きなひとはヤられると思います。単独でも観たい!

■PULP(GALAXY STAGE)
そうなのよアダム・ベッツいたのよ知らなかった!  一昨年から参加してたんですね。 そうそうドラムもだけどマルチにいろいろやってた。
という訳で来日は27年ぶり、ライヴ観るのはお初のPULP!「Common People」聴きたいね〜と呑気に構えていたが、始まってみればいきなり「I Spy」! 畳み掛けるように「Disco 2000」! か、身体が覚えている! やべー! やべー! 当時クラブやミュージックチャンネル(YouTubeのじゃないよ!)、ラジオ(J-WAVE開局は大きかった)で耳にしたものばかり! 地上波TVでもbeatUKやってた時代!
皆さんいい感じにおじちゃんおばちゃんになっているのだが、それがまた格好いいんですよ。とはいえボビたん同様ジャーヴィスの体型の変わらなさに感嘆。細身のスーツ似合うー! 激しく変な踊りを踊るー! メガネときどきズレるー! か、かっこいい!!!
ケータリングにあったのかポケットから出したお菓子をバラまいたり(後で知ったが恒例のコーナーらしい)、日本で年越ししたそうで、滞在中撮った写真の紹介とそれにまつわるお話のコーナー(これも恒例だそう)も楽しい。ホテルのお風呂から富士山が見えたこと、元日から働いているひとがいたこと……優しい視線。
そういや菓子まくの、THE SPECIALSでテリー・ホールが飴やらティーバッグやらお箸やらを配ったの思い出した。そんなテリーももう鬼籍のひと。今のジャーヴィスと同じくらいの歳じゃなかったか。早いよ(泣)。
閑話休題。そうした心温まるお話をしつつ、日本語も沢山喋ろうとしてくれたジャーヴィス。「Sunrise」を「日の出」、「Pink Glove」を「ピンク(桃色だったか?)の手袋」というのはともかく「Underwear」のとき「下着履いてますか?」とかいって大ウケであった。直球すぎて曲名知らないひとはザワッとなってた。「Sunrise」の映像と照明の演出、日の出そのものでドラマティックが過ぎたな……オレンジ色の光を浴びて浮かび上がる、変な踊りを踊るジャーヴィスのシルエット。笑い乍ら泣いた。
キャンディダ姐さんがまた格好よくてさ。Farfisa Professionalのオルガンを滑らかに弾いたかと思えば、シンセ、サンプラーのツマミをブイブイ捻って音の礫を投げまくる。変な踊りを踊る(しつこい)ジャーヴィスを「おう、やってんなー」みたいな感じでニヤリと見やる。フルートグラスでワイン(シャンパンだったのかも)呑んでて、最後にカンパーイみたく掲げたのにシビれた。
「This Is Hardcore」も聴けて感激。「Common People」はアンコールで。オープニングの映像がバンドの挨拶とステートメントってな内容だったんだけど、英文の上に和訳を載せてくれて、その時点でこのライヴはアンコールなんだよ、と書いていた。バンドのアンコールでもあり、あなたたちが望めばアンコールがある、というような。歴史の重みを感じさせ、しかしその美学は今に繋がっている。来てくれて有難う! 新年からいいもの観た! サイケ映像で酔って例の目眩が起きそうになり、その間数分ステージを直視出来なかったのが無念であった。このくらいでもダメか! いやホント困るんですけど! なんとかしたい!

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終わってみればGALAXY STAGEほぼ全部観てるやんけ。被りがなく(音被りもないのがいい)各ステージの距離が短いので、片方が終わって移動するとすぐ次のアクトが始まる。自分の体力と相談しつつ、意識的に休まんとホントずーーーーーっと観ることになる。うれしい悲鳴です。明日が大本命なのでアミノ酸飲んで寝ました。